技術者にとって、企業の経営者や事業サイドの人たちの「ITへの無理解」はものすごく腹立たしいはずだ。特に経営者がITを理解していないと本当に困る。しかもITへの無理解は技術者の仕事に対する無理解につながる。そうでなくても日本では技術者の専門性を軽視する企業が多い。ITの専門家としては耐えがたいと思う。

 ITベンダーの技術者もきっと同じ思いだろう。上司から「お客さまに寄り添え」と気色悪い指示を受けているから我慢しているとは思うが、素人化した客のIT部門の無知から来る要求はやはり腹立たしいはずだ。客から「そんなの簡単にできるだろうから、やってよ」などと言われると、「少しはITを勉強しろ!」と叫びたくなるに違いない。

 言うまでもないが、今やITに関する知識はビジネスに必須である。だから、技術者以外のビジネスパーソンはITを学び、業務に必要なら使いこなせなくてはいけない。さらに言えば、誰もがスマートフォンなどのデバイスを持ち、様々なデジタルサービスを利用しながら生活している。その意味で、ITの基本知識は現代を生きていくうえで必須と言ってよい。

 にもかかわらず、である。いまだに多くの経営者が「後は専門家に任せる」と現場に丸投げしており、何かトラブルがあると謝罪会見で無知をさらけ出す。政治家や官僚のITオンチぶりも目に余る。教師の中には、デジタルの時代を生きなければいけない子供たちにITを教えるべきなのに、ITと聞くだけで尻込みする人もごろごろいる。

 そんなわけなので、技術者たちの憤りはもっともだ。誰もが基本的な素養としてITを学んでもらわなければ困る。だが技術者には逆のことが言える。ITの専門家として素人に分かりやすく説明できなくてはならない。分かりやすく説明してこそ、経営者などITの素人に理解を促せるからだ。「分かりやすく説明する」スキルは特にITに限った話ではなく、各分野の専門家に共通する必須スキルである。

 技術者は皆、当然のようにそう思っていると考えていた。ところが最近、ちょっとした“事件”が起こった。Twitterで「技術者は素人に分かりやすく説明できなくてはならない」との趣旨をツイートしたときだ。このツイートは多くの技術者に賛同してもらったが、同時に「そんなわけないだろ!」との批判も数多く寄せられた。もうビックリである。そのツイートは以下の通りだ。

 「難しい事を難しくしか語れない技術者が多い。技術者なのに、なぜ素人に分かるように説明できないのか。難しい事をやさしく説明するのは、専門家としての深い知識が必要だ。反対に、難しく語るのは少し勉強した素人でもできる。だから難しい事を言う技術者は素人(他の分野の専門家)からばかにされる」

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