そろそろ大災害への備えを始めておいたほうがよいかもしれない。大災害と言っても、もちろん自然災害のことではない。この「極言暴論」で書くぐらいだからITにまつわる災害で、それは「デジタルバブル崩壊」だ。最悪のケースだと、2001年のネットバブル崩壊の二の舞いになる可能性もある。そうなったとき、「デジタル!デジタル!」とカラ騒ぎする日本企業はどうなるだろうか。

 デジタルバブル崩壊と言うからには、次の2つの点をきちんと説明しなければならない。1つは「本当にデジタルバブルが発生しているのか」、そしてもう1つは「デジタルバブルであったとしても近い将来、本当に崩壊するのか」である。実は、最初の「デジタルバブルが発生しているか」については、3年以上前の極言暴論で「デジタルバブルだ」と言い切ってしまっている。

 この記事は2016年1本目の極言暴論だ。冒頭で「2016年はどんな年になるか。IT関連で言えば、再び巡ってきたバブルの季節、と私は確信している」と書いているから、我ながら大胆な言い切りぶりにあきれてしまう。ただ、この大胆予測はおおむね正しかったようで、今もデジタルバブルの季節は続いている。

 そもそもバブルとは、投資対象の企業や不動産などが実際の価値以上に評価され、お金が突っ込まれた状態を指す。シニア層の読者は鮮明に覚えていると思うが、昭和末期はバブル景気に沸いた。土地などの不動産価格がどんどん上昇し、投資家は転売するだけで巨額の富を得られた。不動産は本来の利用価値よりはるかに高額で取引されたわけだが、誰もそんな「異常さ」を気にしなかった。不動産を手放すときには、購入時より高額で売却できると妄信していたからだ。

 平成になってから生じたネットバブルの際には「ネットベンチャー」などと呼ばれた新興IT企業がその対象となった。未上場企業の評価額も上場企業の株価もどんどん上がった。実はネットベンチャーの場合、不動産より始末が悪い。そもそもの企業価値がよく分からないからだ。企業なら赤字であっても将来の利益を予測できるなら、それを基に現在の企業価値を算出できる。しかし、ネットベンチャーは将来本当に利益が出るのかも定かではなかった。それでもお構いなく評価額や株価は上がり続けた。

 そんなばかげた事態が長く続かないのは、後から冷静に考えれば誰にでも分かる。だがバブルの最中には、土地の価格や企業の評価額などの上昇を正当化する理屈がまことしやかに語られ、皆がそれを信じようとする。当然バブル崩壊に至るが、その被害は甚大だ。昭和末期のバブル景気は平成になって崩壊したが、それが日本経済の大低迷期の引き金を引いた。ネットバブル崩壊では、数多くのネットビジネス(今風に言えばデジタルサービス)が泡と消えた。

 で、今のデジタルバブルの焦点は何かと言うと、いわゆる「ユニコーン企業」とそれに準じる新興IT(デジタル)企業だ。ユニコーン企業とは評価額が10億ドルを超える未上場のスタートアップを指し、めったにお目にかかれないからユニコーン(一角獣)と称される。だが、めったにお目にかかれないにもかかわらず、米国や中国を中心に世界に何百社も存在する。それだけお金が突っ込まれているわけだ。一角獣は想像上の動物だが、ユニコーン企業もバブルが崩壊すれば夢幻となる可能性がある。

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