サラリーマン経営者ばかりの日本企業では戦略的なIT投資は難しい。だが日本企業でも、創業者(および創業一族)やカリスマ経営者が率いる企業はまともなIT投資を実施している――。

 ITベンダー、ユーザー企業を問わず多くのIT関係者は何となくそんなふうに思っているのではないだろうか。実際、私もこの「極言暴論」で日本企業のIT投資のトホホ加減を斬る際に、ネタ元としているのは皆、サラリーマン経営者が率いる企業ばかりだ。

 それに対して、日本企業でも創業者や創業一族、あるいは創業一族でなくても「中興の祖」と称賛されるようなカリスマ経営者が君臨する企業の多くは、経営者自身がITの重要性を語り、戦略的なIT投資を推進している。今回の記事のテーマがテーマだけに、あえて企業名は出さないが、読者の皆さんも「確かにあそことあそこの企業はそうだな」などと何社かすぐに思い浮かべることができるだろう。

 いうなれば、ボトムアップとトップダウンの違いと言ってよい。日本企業の大半は社員を新卒で採用し、純粋培養で自社色に染め上げながら育てる。で、そうした社員の中で激しい出世争いに勝ち残った人たちが順次、経営トップをはじめ経営陣を構成する。まさにサラリーマン上がりが経営するのが多くの日本企業である。

 サラリーマン経営者はいわば現場たたき上げだ。当然ながら現場を重視する。自分が若かりし頃、現場で成功した経験や、直属の上司などがタコ過ぎて満身の新規事業提案を握りつぶされた経験を持つため、可能な限り現場の意向や創意をくみ上げようとする。つまりサラリーマン経営者は皆、ボトムアップ経営を基本にすることになる。

 一方、創業者や創業一族、そしてサラリーマンたたき上げでもカリスマ性を有した経営者はトップダウン経営を志向する。良くも悪くも「独裁者」であるから当たり前だ。もちろんIT投資、今風に言うとビジネスのデジタル化への投資もトップダウンで推進しようとする。

 もちろんIT投資・デジタル投資はトップダウンが正しい。従って、サラリーマン経営者が率いる企業よりも、創業者やカリスマ経営者が君臨する企業のほうが、IT投資がまともであるのは当然だ。私も一時期はそう思っていた。だが実情はどうも違うようだ。他の日本企業と変わらないくらいトホホな話を最近よく聞くようになった。

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