私がこの「極言暴論」で手を替え品を替えぶった切り続けてきたのは、ユーザー企業のIT部門や人月商売のIT業界の不都合な真実や不条理だ。連載を始めてから既に6年以上が経過した。よく書き続けてきたなと自分であきれるぐらいだ。

 もちろん、それだけ日本企業のIT利活用やIT関連ビジネスがどうしようもないということの証左でもある。非効率極まりないシステム開発や保守運用、専門家集団から素人集団に落ちぶれたIT部門、技術者のキャリアを滅ぼす理不尽なIT業界の多重下請け構造、ご用聞きしかできずイノベーションを生み出せない人月商売のITベンダーなど、極言暴論のネタは尽きない。

 なんでこんなに駄目なのかと言うと、根本的な理由が2つある。1つは、日本企業の経営者のITに対する理解がひど過ぎるからだ。もう「アホ」と言ってよいレベルだ。経営者がこれだからシステムは軽視され、IT部門の劣化が進む。結果、素人化したIT部門はシステム開発などを人月商売の親玉のSIerに丸投げする羽目になる。

 で、SIerはご用聞きに徹する。業務改革なども含めて提案したところで、経営者がアホでIT部門が素人集団化しているならば無意味だ。下手に提案して受け入れられでもしたら、システム開発が大炎上するリスクにさらされる。「ご用」を聞いて無意味な機能までも要件に取り込み、人月工数を膨らます。そして多重下請け構造を活用して楽な金もうけにいそしむこととなる。

 2つ目の根本的な理由が、今回の記事のテーマだ。日本の厳格な解雇規制もまた、トホホなユーザー企業のIT利活用やIT業界の多重下請け構造の闇を生み出した張本人である。その理由は後で説明するとして、この件についての私のスタンスを記しておこう。

 「解雇規制を大幅に緩和すれば、IT部門の素人化やIT業界の多重下請け構造などの問題はあらかた片付く」と私は思っている。ロジカルに考えるとそうなる、ということだ。だから「解雇規制を撤廃せよ、そうすれば日本のITは全てうまくいく」といったタイトルで記事を書けば、極言暴論らしいすっきりとした論を張れる。だけど、そんな記事は書かないし書きたくもない。

 なんせ若いころ、失業状態で食べていくにも困ったことがあるし、ブラック企業でこき使われて理不尽な目に遭った経験もある。だから、ブラック企業の経営者が大喜びし、路頭に迷う人が増える恐れのある解雇規制の緩和など、とんでもない。ふざけんじゃねぇというレベルの話である。「解雇を容易にせよ」は私にとって暴論ではなく「暴言」である。

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