この「極言暴論」の読者ならよくご存じだと思うが、私は常々「若者をコボラーにするな」と主張している。COBOLが古い言語だから駄目だと言っているわけではなく、今どきCOBOL技術者になってしまえば、新規開発に携われる機会はほとんどない。仕事が老朽化したシステムのお守りに確定してしまうことが問題なのだ。

 十数年前に誰かが作ったCOBOLプログラムの保守を割り当てられたら目も当てられない。ユーザー企業のIT部門の新人ならともかく、ITベンダーの新人が客先常駐のそんな現場に放り込まれたら、将来が一気に闇に閉ざされてしまう。

 ユーザー企業にとってシステムの保守や運用が大切なのは分かるが、ITベンダーの技術者は作ってナンボだ。数多くのシステム開発に携わった経験、様々な最新技術に触れた経験が技術者としての未来をつくっていく。それなのに、老朽システムのお守り役になった途端、そうした世界から隔離されてしまう。

 恐らくITベンダーの上司は新人に「システムの保守や運用を経験することは、開発を担うようになったときに役立つ」と因果を含めるだろうが、少しの真実を混ぜ込んだ嘘である。確かに保守運用の経験は有用だが、この若者は20代の大切な時期に恐らく保守運用の経験しかできない。属人化した保守運用の現場は、外の世界に出るに出られないタコツボだからだ。

 老朽システム、特にそれが基幹系システムなら「ザ・属人化」の闇の世界だ。その企業独自の業務プロセスに合わせて作られ、何年も場当たり的な改修を繰り返してきたため、コードはぐちゃぐちゃ。保守担当者しかコードに触れない。若手技術者がその担当者になってしまえば、客にとって「余人をもって代えがたい」人になり、離脱不能となる。で、タコツボの住人となるわけだ。

 だから、COBOLかどうかは本質的な問題ではない。若者はコボラーになってはいけないが、コボラーではなくても基幹系などの老朽システムの保守運用など担当してはならない。にもかかわらずユーザー企業のIT部門はITベンダーに若手技術者の常駐を求め、ITベンダーは「君の勉強のためだ」などと平気で嘘をついて、若手をタコツボに送り込む。

 何度も書いたが、けしからん話である。だが幸い、若手技術者も「保守運用のタコツボの住人になったら将来は闇」という、ユーザー企業やITベンダーの幹部が隠す「不都合な真実」に気付き始めている。素晴らしい。だが、その当然の帰結として、記事のタイトル通り、ユーザー企業のIT部門で「老老介護問題」が深刻な事態となりつつある。

この先は会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら