日本大学アメリカンフットボール部の悪質反則問題を契機に、日本企業の体育会系体質の問題点が指摘されるようになった。体育会系体質とは、上意下達で絶対服従を強いる硬直した組織の体質あるいは文化を指す。東芝を苦境に追いやる発端となった不正会計問題と日大アメフト部の問題の類似性を指摘する声もある。確かにこの体育会系体質は企業など日本の様々な組織に巣くう大きな問題と言ってよい。

 ただし、体育会系体質の話の中にどうしても納得しかねる箇所が1つある。それは「上意下達」。ボーッと聞いていると、経営者や上司の命令を従順に受け入れ、場合によっては現場で不正行為すら横行する日本の組織の体質はその通りだと思ってしまう。それでも私は「何か違うな」と引っ掛かっていた。明確なロジックでそれを説明できずにモヤモヤしていたのだが、「上意下達って英語では……」と考えた瞬間、全てが氷解した。

 上意下達を英語で言うと「トップダウン」ではないか。トップダウンは欧米や新興国の企業では当たり前だが、日本ではほとんど見られない。日本企業でトップダウン型の組織は、せいぜい創業者やその一族が経営トップに君臨する一部の企業だけだ。むしろ日本企業の特徴は「ボトムアップ」にあると言われてきた。そんなわけで体育会系体質が問題だと騒いでも、日本企業は上意下達ではない。本当に上意下達なら、日本企業はもっとマシだったろう。

 日本企業の経営トップは欧米企業のトップのように、明確な経営意思を部下に示すケースは少ない。だが、よく言われてきたように日本企業がボトムアップかと言えば、これは上意下達と言われる以上に強烈な違和感がある。日本企業に勤める読者なら誰もがアグリーしてくれるだろう。「いや、ボトムアップでしょ」と言う読者がいたら、お聞きしたい。「あなたの意見やアイデアはボトムアップしていますか」。

 では日本企業、あるいは日本の組織の多くに共通する特徴は何かと言えば、これはもうはっきりしている。「忖度」のまん延である。経営トップらは事細かな指示を出さず、部下たちが「社長のご意向は何か」などと忖度して行動する。東芝の事件でも、当時の経営トップの指示は「チャレンジ(手段を問わない利益改善)」であり、部下が忖度して行動した結果が会計の不正である。このように忖度であっても強制力が働くから、日本企業が体育会系体質である事実に変わりはない。

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