世の中には変わった人が大勢いるが、まさかSIerのプロジェクトマネジャーの中に「炎上マニア」がいるとは思わなかった。

 システム開発プロジェクトの途中でトラブルが発生して炎上すると、開発チームは大変な苦労を強いられる。ところが炎上マニアは、一丸となって火消しに向かう客とITベンダーの枠を越えた連帯感や、プロジェクトを完遂した時の達成感がたまらないのだそうだ。そして「炎上プロジェクトを経験しないプロマネは育たない」などと言う。

 以前、大手SIerのプロマネからそんな“告白”を聞いて随分驚いた記憶があるが、最近やはり大手SIerのプロマネから同様の話を聞かされた。「極言暴論」を書いている私ですらビックリの暴論である。

 だって、そうだろう。確かに困難な仕事をやり遂げれば達成感はあるのは分かるが、下請けITベンダーの技術者など開発チームのメンバーはデスマーチを歩かねばならず、心身を病んで倒れる人も出たりするのだ。

 そもそもシステム開発プロジェクトが炎上すると、顧客にとってもSIer自身にとっても困った事態となる。システムのQCD(品質・コスト・納期)のいずれか、あるいは全てが担保できなくなるから双方にとって打撃が大きい。大炎上してプロジェクトが頓挫すれば、訴訟沙汰にもなりかねない。だから「炎上上等」などと思うプロマネがいることは驚きである。システム開発は炎上させることなく完遂するほうが「上等」のはずだ。

 ところが、どうやらそうではないらしい。改めて「炎上マニア」の観点から振り返ってみると、元プロマネのSIer幹部や現役プロマネがプロジェクトの炎上をどうやって鎮火したかを自身の武勇伝として楽しそうに語るのを何度も聞いたことがある。「炎上マニア」が筆者の周りにもそこそこいたのだ。

 筆者が特別なのかを知るため、冒頭の「炎上マニア」のネタをTwitterでつぶやいてみたところ、「実は私も以前はそうだった」とか「私の近くにもそんなプロマネがいる」などといったコメントが多数寄せられた。「炎上マニア」のプロマネは結構いるようだ。

 で、驚いたのだが、冷静に考えてみれば不思議なことではないのかもしれない。実は「炎上マニア」のプロマネがデスマーチの修羅場を乗り切ることにやりがいを感じられるのは、次の3つの理由があるからだ。

 1つ目は、確かに炎上プロジェクトはプロマネを育てる。2つ目は大問題なのだが、プロジェクトを粛々とやり遂げたプロマネより、炎上プロジェクトを完遂したプロマネのほうが評価が高い。そして3つ目はご用聞き・人月商売では必然的に炎上するから、である。

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