最近、Twitterで次のようなユーザー企業の話をつぶやいたら大反響があった。「優秀な技術者(もちろんプログラマー)を採用しようとした某企業。応募してきた若手技術者に『年収800万円以上なら就職してもよい』と言われ、面接官の課長は『私の給与よりはるかに高い』と怒ったそうだ。でも米国企業では技術者が1000万円近くで、現場のマネジャーが500万円なんて当たり前のこと」。

 このつぶやきに対して、1日でリツイートが4000以上、「いいね」が6000以上あり、いわゆる「バズる」状態になった。日本企業に勤める技術者たちの秘めたる思いを強く刺激したようだ。この「極言暴論」でも何度か指摘している通り、なぜ日本企業では管理職に比べて、技術者などの専門職の給与水準が低く抑えられているのか。特に優秀な技術者なら誰もが理不尽だと感じていた日本企業の常識を、その若手技術者はあっさり無視してみせたわけだ。

 結果としてこの若手技術者は採用されなかった。だが、当人にとってもそのほうがよかったのだと思う。本当に優秀ならば海外の企業、あるいは国内でも外資系企業や古い慣行に縛られないベンチャー企業に転職したほうがよい。欧米や中国・アジアでは特にデジタル化の中核を担う技術者には、ユーザー企業もITベンダーも高額の報酬で報いる。それに比べて、技術者ら専門職に対する既存の日本企業の冷遇ぶりは異常なほど非常識だ。

 最近、アジアを含め各国で仕事をしてきた英国人にこの件を聞いてみたら、誠にごもっともな答えが返ってきた。「どこの国の企業であっても、専門性の高い人はそれにより自社のビジネスに高い付加価値や結果をもたらしているのだから、マネジャーよりサラリーが高くても当たり前。日本企業だけが違う」。平社員から管理職の階段を上っていくことを「出世(世に出る)」と称する日本の常識は、まさに世界の非常識なのだ。

 日本企業に新卒で入社すると、どんなに優秀な若手であっても給与は平社員の水準でしかない。海外の企業なら新卒でも年収800万円以上が保証される飛びっ切りの人材であっても、それは変わらない。しかもプログラマー、そしてアーキテクトとしてプロフェッショナルの道を歩み、30代で脂の乗った技術者として活躍したとしても平社員である限り、出世の階段を上り始めた同期に比べて給与は低い。「やってられねぇ!」との声が聞こえてきそうである。

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