米アップル(Apple)は2018年10~12月期決算から、これまで「その他の製品」としてまとめていたカテゴリーを「ウエアラブル」「ホーム」「アクセサリー」の3つに分けて開示する。従来もウエアラブル製品の成長率に個別に言及することはあったが、今後は四半期決算ごとに状況を把握できるようになる。

 中でも注目はApple Watchだ。主力のiPhoneは販売台数がこれ以上伸びず、今後は減少も予想される。それ故にApple Watchをいかに伸ばせるかが成長の大きな鍵を握る。そのApple Watchの最新版、Series 4には非常に重要な機能がある。心電図計測機能だ。

専用アプリを起動して30秒で計測

 心電図は「ECG」や「EKG」などと呼ばれ、心臓の動きを電気的な信号で捉え、波形によって心疾患を診察するためのものである。重要なのは、心電図のデータを主に見る主体が、Apple Watchで測定するユーザーではなく医師であるという点だ。

 このため、アップルは米スタンフォード大学と共同でApple Watchの心拍計を活用した研究を進めてきた。さらに医療機器の認証を手掛けるFDA(米国食品医薬品局)の認可を取得し、医療業界や医師とのコミュニケーションを慎重に図ってきた経緯がある。

 筆者もApple Watch Series 4による心電図の計測を体験した。Apple Watchを装着して椅子に座り、ECGアプリを起動。Apple Watchを左手に着けているなら、右手の人差し指でDigital Crownに触れて30秒待つ。これだけで計測が終わり、iPhoneのヘルスケアアプリにデータが蓄積される。

 計測した心電図のデータはPDFファイルに出力できる。医療機関のアプリを通じて医師にファイルを送信し、次の診察に役立てられるようになる。

健康・医療は次なるターゲット

 Apple Watchは最新のwatchOS 5で心拍計アプリがアップデートされ、脈拍が速くなってしまう「頻脈」、逆に遅くなってしまう「徐脈」を検出すると、通知を受けられる機能が備わった。これに加え、Series 4では心電図計測機能が利用できる。

 Apple Watchのこれまでを振り返ると、2014年の発表当時はニーズが高かったフィットネス機能に特化。アルゴリズムまで自ら開発して正確なカロリー計算を実現した。続いてCellularモデルにより、単体での音声通話や音楽のストリーミング再生に対応。watchOS 5ではトランシーバーアプリで新しいコミュニケーションの提案に取り組んだ。

 健康・医療はApple Watchが目指す次なるターゲットであり、最初のテーマが心疾患となった。米国では年間79万人が心疾患で亡くなり、死因のトップとなっている。Apple Watchはスタンフォード大学との研究でも高い評価を受けてきた。この得意分野を生かし、米国で最も大きな健康上の問題に取り組むことは極めて理にかなっている。