米アップル(Apple)のiPhoneに対する弱気の見通しが、さまざまな方面で確認されている。同社は2018年10~12月期の売上高を890億~930億ドルと予測しており、前年同期比で微増にとどまる見通し。アップルの予測の中央値(910億ドル)は、アナリスト予測の中央値である930億ドルを下回っている。

 2018年モデルのうち廉価版のiPhone XRについては、製造委託先である台湾の鴻海精密工業における増産の中止や残業の縮小、部品を供給する米ルメンタム・ホールディングス(Lumentum Holdings)やジャパンディスプレイによる売上高縮小の予測など、サプライチェーンから生産縮小の声がささやかれる。米経済紙「Wall Street Journal」はiPhone XRだけでなく、iPhone XSシリーズも増産しない方針であると報じた。

 さらにアップルは、売上高が最も伸びるホリデーシーズンに厳しい見立てをしているとも伝わる。米国におけるテクノロジー株の下落はアップルだけに限らないが、同社の株価は2018年11月だけで25%以上も下落した。こうした状況からアップルも対策に乗り出している。

iPhone XRが実質2万円台に

 日本では、NTTドコモが2018年11月26日から、新規または他社からの乗り換え(MNP)でiPhone XRを購入した場合に端末代金を8424円引きとする「iPhone デビュー割」の提供を始めた。オンラインショップ限定特典などを組み合わせれば、64Gバイトモデルを実質2万5920円で入手できる。今後、競合他社も追随する可能性がある。

 iPhone XRの米国での価格は749ドルから。999ドルからのiPhone XSと比べ、iPhone XRはディスプレーを有機ELから液晶に、カメラを2つから1つに、フレームをステンレスからアルミにそれぞれ変更することで価格を抑えた。

 もっとも、機械学習処理に優れたA12 Bionicチップは共通化し、処理性能とバッテリー持続時間を両立。液晶ディスプレーも申し分ない品質に高め、必ずしも廉価版に当てはまらない仕上がりとした。

 逆にこのことがネガティブな評価につながっている。確かにiPhone XSと比べれば安いが、エントリーモデルはこれまで649ドルまたは699ドルだったことを踏まえると、価格が引き上げられた。599ドルのiPhone 8とも150ドルの開きがある。むしろ、ホームボタンが残るiPhone 8はいまだにiPhone XRと競合しており、待望されるiPhone SEの後継の地位に仕様面でも価格面でも近づいてきた印象すら受ける。

 アップル、NTTドコモともに値下げのスキームについては言及していないが、iPhone XRで苦戦するNTTドコモに対し、アップルが協力したとも十分に考えられる。