米アップル(Apple)の株価がさえない。ここ2週間ほどの急落で今夏の上昇分を帳消しにしただけでなく、さらなる下落トレンド入りが懸念されるほどだ。

 日本経済新聞は2018年11月5日、米アップルが製造を委託している台湾の鴻海精密工業と和碩聯合科技に対し、「iPhone XR」の増産中止を要請したと報じた。それを裏付けるように主要サプライヤーが決算発表で業績の見通しを相次ぎ引き下げた。

 2018年11月12日には、iPhoneの顔認証「Face ID」向けの部品を供給する米ルメンタム・ホールディングス(Lumentum Holdings)が「我々の最大顧客の1社から、3Dセンシング向けレーザーダイオードについて出荷の大幅な減少の要請があった」(社長兼CEOのAlan Lowe氏)ことを明かした。

 具体的な社名には触れなかったが、同社の最大顧客はアップルであり、売上高の30%を依存している。アップルから要請があったことは明らかである。

 Face IDは2018年モデルのiPad Proにも搭載された。つまり、ルメンタムの出荷計画の縮小はiPhoneによる影響だけとは限らない。iPadの販売台数はiPhoneの20%以下の水準にとどまるが、アップルが新型iPadについても販売増にはつながらないとの見通しを持っている可能性がある。

米中間選挙や中国の景気も影響

 もっとも、株式市場は様々な要因で複合的に動くため、アップル株の下落と低迷の理由を一概には判断できない。今回の場合、米中間選挙でドナルド・トランプ大統領率いる共和党が上院を制したことも見逃せない。

 これにより、トランプ大統領が圧力を強める対中政策が今後も続くことが確認できたと言えるからだ。既に関税引き上げ合戦の様相を呈し、中国は輸入量が少ないことから「弾切れ」が指摘される。人民元安もじりじりと進み、対米貿易黒字が拡大する皮肉な結果を招いている。

 中国は米国の圧力が高まる前から成長の陰りが指摘され、本格的な不況が訪れる可能性も払拭できない。アップルは在庫を抱えない生産計画を徹底しており、これらの点を織り込んで反映させたとも考えられる。

 アップルは2018年7~9月期決算で、米国の消費者信頼感指数(CCI)やドル高が販売に影響を与えるとの見方を示した。ドル高は、米国以外の国における製品価格の上昇につながるためだ。全体の売上高のうち、米国外は約6割、中国は約2割を占め、ドル高や中国の景気後退が同社に与える影響は小さくない。