次の狙いはヘルスケア分野

 もう一つの新製品のApple Watchは、今回のSeries 4で初めてデザインが変更された。これまでのイメージを保ちつつ、サイズは従来の38mmから40mm(35%拡大)、同42mmから44mm(32%拡大)とそれぞれ大きくなった。とはいえディスプレーの縁がより狭くなったことから、現在42mmのApple Watchを使用しているユーザーには、新しい40mmモデルでも十分な画面サイズと言える。

 64ビットデュアルコアプロセッサ「S4チップ」を搭載し、背面にはブラックセラミックを配置して電波を拾いやすくした。このほか、ハードウエア面の強化としては、心電図を取れる電気心拍センサーや、ダイナミックレンジを強化して最大32Gの重力加速度を計測できるモーションセンサーなどの搭載が挙げられる。

 心電図機能は、米FDA(米国食品医薬品局)の認可を受け、医師の診察の際にデータを提出できる仕組みとした。ただし、日本では認可を受けていない。ハードウエアは共通なものの、同機能は認可を受けるまで有効化されないとみられる。

心電図を取れる電気心拍センサーを新たに搭載
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 今回強化したモーションセンサーを生かした機能は「転倒検出」。Apple Watchを装着したユーザーの落下、転倒、スリップなどを検出すると、緊急通話の画面を自動的に表示する。1分間反応がなければ自動的に緊急通報して、危険を知らせることができる。

ユーザーの落下、転倒、スリップなどを検出する
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 アップルはこれまで、フィットネス分野を中心にスマートウオッチとしての用途を開拓し、通話機能の搭載でコミュニケーションツールとしても使えるようにした。同社はこの段階で世界で最も売上高が高い腕時計ブランドとなった。

 Apple Watchの次の狙いはヘルスケア分野だ。心拍センサーはもちろん、今回の心電図や転倒検出はまさにこれを示唆している。Apple Watchを医療機器として見ることは時期尚早であり、アップルもそれを望んでいるわけではない。だが、普段の生活の中で健康に関わる情報をいかに集めるか──という同社のチャレンジは、今後も続いていくことになる。

松村 太郎(まつむら たろう)
ジャーナリスト
松村 太郎(まつむら たろう) 1980年生まれ。米カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に『LinkedInスタートブック』(日経BP社)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、『ソーシャルラーニング入門』(日経BP社)など。