最も重要なのはA12 Bionic

 今回のスペシャルイベントでアップルが強調したのは、新しいプロセッサの「A12 Bionic」だ。同社は、iPhone 4に搭載した「A4」からプロセッサを独自に設計してきた。スマートフォンとして初めての64ビット化を果たし、パフォーマンスと省電力性で他社に差を付けている。

 2018年モデルで共通して採用されたA12 Bionicは、スマートフォンのプロセッサとして初めて7nmプロセスで製造されたARMチップとなり、処理性能と省電力性を高めた。中でも力を入れたのは、毎秒5兆回を処理するニューラルエンジンだ。

ニューラルエンジンの処理性能は毎秒5兆回。iPhone Xに搭載していた「A11 Bionic」は毎秒6000億回だった
撮影:松村 太郎、以下同じ
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 iPhone XSにおけるカメラやFace IDの高速化もニューラルエンジンの処理能力を生かして実現したものになる。例えば、写真の撮影でシャッターを切るたびに1兆回の機械学習処理が行われるという。

写真を撮影するたびに1兆回の機械学習処理を実施
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 カメラセンサーを2倍に高速化して画像データを素早く機械学習処理に回すようにしたほか、写真の様々な要素を数値モデル化して機械学習処理する仕組みなども搭載。カメラのハードウエアとソフトウエアのそれぞれのチームがニューラルエンジンの活用を前提に緻密に開発を進めてきたことがうかがえる。

 近年の進化を見ると、アップルが機械学習処理に使うニューラルエンジンの強化に力を入れ、カメラをはじめとした各機能がこれを活用することでiPhoneの優位性を高めようとしていることが分かる。同社らしいアプローチであり、その結果が随所に落とし込まれていることを改めて実感した。