自動運転は人間の判断と相性が悪い?

 シリコンバレー周辺の自動運転車に限らず、米国の公道、特に高速道路ではシステムによる運転や加減速がかなり浸透してきた。テスラはオートパイロットにより、高速道路においてほぼシステムだけの運転を実現済み。AudiやCadillacなどでも特定条件下での自動運転(レベル3)を実現している。米国では長距離移動が多いこともあり、加減速を制御するクルーズ・コントロールが幅広い車両に取り付けられるようになった。

 だが、これらシステムによる走行と、人間の先を見越した判断は若干、相性が良くないように感じる。実際、先行している車がイメージと違う挙動を見せ、ヒヤッとした経験が筆者にもあるからだ。アップルの自動運転車の事故も原因は同じかもしれない。

 人間はシステムの挙動を理解すべきであり、システム同士も互いの動きを理解する必要がある。こうした理解が進んでおらず、システムと人間の運転が混在する現状の過渡期においては、システムで運転中だと明示する仕組みが必要ではないか。自動運転車の実験車両は分かりやすいのでまだしも、改めて対策の検討が必要と言えそうだ。

テスラからアップルに人材が流出

 アップルの自動車関連の取り組みを巡っては、これまで様々な報道が出ている。

 2015年には「Project Titan」と呼ぶ電気自動車(EV)プロジェクトが「1年前から進行していた」と話題になった。その後、アップル自身がEVを開発する話から、パートナーと組んで提供する話、さらには自社のキャンパス間の移動に利用する話まで、二転三転してきた。

 ティム・クックCEO(最高経営責任者)は2017年6月の米Bloombergのインタビューで、自動運転システムに集中して開発を進めていることを明らかにした。車両そのものの開発よりは、自動運転システムを開発して既存の車両に組み合わせるアドオン型を考えているようだ。

 技術や人材の集約も進んでいる。米CNBCは、アップルが2018年に入ってテスラから46人の社員を引き抜いたと報じた。もちろん、全てが自動運転プロジェクトに関わる社員とは限らないが、テスラは資金繰りの問題や非上場を巡る混乱などで人材流出が起こっており、その有力な転職先としてアップルが候補となっているもようだ。

松村 太郎(まつむら たろう)
ジャーナリスト
松村 太郎(まつむら たろう) 1980年生まれ。米カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に『LinkedInスタートブック』(日経BP社)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、『ソーシャルラーニング入門』(日経BP社)など。