米アップルは2014年9月に発表したiPhone 6でNFC(近距離無線通信)チップを内蔵し、2014年10月に非接触型の決済サービス「Apple Pay」を始めた。

 クレジットカードの不正利用による被害が多い米国において、NFCチップによる決済の拡大はセキュリティを格段に高めた。筆者が住む米国カリフォルニア州バークレーでも、非接触型ICチップリーダーの普及が進み、ほとんどの買い物をApple Payのみで済ませられるようになった。

 ATM(現金自動預け払い機)にもNFCリーダーが搭載され、Apple Payにデビットカードを登録していれば、iPhoneもしくはApple Watchをタッチするだけで銀行口座から現金を引き出せる。アップルのティム・クックCEO(最高経営責任者)は2018年4~6月期決算の電話会議でApple Payについて触れ、Squareよりも「決済数が多い」ことを明かした。

 Squareは米スクエアが手掛けるサービスで、iPhoneやiPadといったスマートデバイスのイヤホンジャックに小型のクレジットカードリーダーを挿すことにより、クレジットカード決済を簡単に取り扱える。個人経営や小規模の店舗でハードルとなっていた決済手数料や専用端末の負担を減らし、利用を広げた。

 クックCEOはApple PayのほうがSquareより決済数が多いとしたが、すかさず「スクエアは素晴らしい企業」ともフォローを入れた。小規模の店舗でApple Payを利用できるようになったのは、スクエアがNFC/EMV(ICカードの国際標準規格)リーダーを50ドル以下で発売したからであり、パートナーである点に配慮したものと思われる。

小売大手がApple Payに相次ぎ対応

 クックCEOは前述の電話会議で、Apple Payが米国の7-ElevenやCVS Pharmacy(薬局チェーン)でも2018年秋から利用できるようになるとした。特に言及はなかったが、Costcoでも利用可能になった。

 Apple Payがこれらのチェーン店に広がることは大きな意味を持つ。アップルは米企業の売上高番付「Fortune 500」で4位を誇るが、これらの企業も上位につける。CVS Healthは6位でAmazon.com(7位)を上回り、Costcoも15位とVerizon(携帯電話最大手、16位)やAlphabet(Googleの親会社、22位)より上だ。

Fortune 500の上位20社。Fortune誌の発表に基づき、日経 xTECH作成
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 Apple Payをサポートする小売チェーンはこれまで、Walgreens Boots Allianceの19位が最高だったことを考えると、存在感は一気に高まった。