リニア中央新幹線の南アルプストンネル静岡工区が大井川流量減少を巡って本格着工できずにいる問題で、国土交通省が事態の打開に向けて関与を強める方針が決まった。

 2019年10月31日、国交省と静岡県、JR東海の3者で会談。国交省が主導して新たな協議の場を設け、3者で問題解決を図る方向性を確認した。具体的な協議の進め方などを詰めたうえで、近く3者で合意文書をまとめる予定だ。

 国交省はこれまで静岡県とJR東海の協議を見守る姿勢にとどめてきたが、両者の議論が混迷を極めているため、積極的に関与して問題解決を図る。

リニア中央新幹線は静岡県北部の山岳地帯を長大トンネル(南アルプストンネル)で貫く計画だ。同県内の延長は約11㎞。そのうち、静岡工区は約9km。JR東海の資料に日経コンストラクションが加筆
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 リニア事業は14年10月、国交省から全国新幹線鉄道整備法に基づく工事実施計画の認可を受けた。しかし、静岡県がトンネル工事に伴う大井川水系の流量減少を問題視。工事で減る水量を全て同水系に戻すようJR東海に求めた。

 JR東海は18年10月に全量を戻す基本姿勢を示したが、19年8月にトンネル湧水の一部が施工中に静岡県外に流出する期間があると言及。静岡県が強硬に反発し、議論が膠着状態に陥っていた。

南アルプストンネルの縦断図。JR東海は土かぶりの大きさや地質の連続性などを考慮して工区境を決めた。山梨工区は県境から約1km、長野工区も同約700m、静岡県内に入った地点に工区境を設定した。先行する山梨と長野の両県側から標高の高い静岡県側へ掘り進める際、作業の安全を考えて上り勾配での掘削を提案した。静岡県側から下り勾配で掘削すると、突発湧水の発生時に切り羽が水没する恐れがあるとみているからだ。ただ、上り勾配で掘削する場合、標高の低い山梨と長野の両県側に湧水の一部が自然流下で流出する期間があると主張。静岡県が猛反発している。JR東海の資料を基に日経コンストラクションが作成
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