農業用ダムなどの管理施設の半数以上で耐震性能が不足している実態が、会計検査院の調べで分かった。大地震発生時に管理施設の建物が倒壊すれば、制御システムなど重要設備の機能が喪失し、二次災害として水害が発生する恐れがある。検査院は2019年10月24日、所管する農林水産省に改善を求めた。

農業用ダムの管理施設と重要設備の概念図(資料:会計検査院)
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 検査対象は、河川から農業用水を引き入れる取水口などの「頭首工」や農業用ダムを管理する施設。農水省の各農政局が15~18年度に新設・更新した重要設備44カ所と管理施設43カ所の耐震性能を調べたところ、管理施設の23カ所で重要設備よりも耐震性能が劣っていた。

 例えば、九州農政局は佐賀市内の北山ダムで、12~15年度に洪水吐きゲートを操作する機側操作盤を設置するための工事を実施。16年度には、機側操作盤を設置する上屋の建築工事を行った。整備が先行した機側操作盤には最上位の耐震性能を持たせながら、直後に工事をした上屋ではそれと整合しない下位の耐震性能を採用していた。

北山ダムの洪水吐きゲート。農林水産省九州農政局は、平成28年度農業農村整備事業等優良工事等の局長表彰の対象に、機側操作盤を設置するために実施した「北山ダム洪水吐ゲート製作据付建設工事」を選んでいる(写真:農林水産省九州農政局)
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 農水省は14年9月、配電盤や制御盤などの電気盤とそれを設置する管理施設の耐震設計に関する事務連絡を通知。ダムや用排水機場、用水路などの施設の重要度に応じて、電気盤の耐震クラスを「S」「A」「B」の3つに分類した。管理施設についても、大地震でも構造体に大きな補修をせずに建物を使用できる「特定」と、構造体に部分的な損傷が生じても建物全体の耐力が著しく低下しない「一般」の2つに分類した。

 ダムと頭首工については、大地震で建物が倒壊して重要設備が損傷すると、ダムが機能しなくなって水害が発生する恐れがある。そこで、電気盤と管理施設の耐震クラスを共に最上位の「S」と「特定」に位置づけた。

配電盤や制御盤など電気盤と管理施設の耐震クラスの分類(資料:会計検査院)
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