「現場監督、技術者の精神障害事案をみると自殺事案が多く、発症に関与したと考えられるストレス要因は、長時間労働や業務量の変化が多い」――。

2019年版の過労死等防止対策白書より建設業の精神障害事案件数。10年1月から約5年間に労災認定された精神障害事案は149件で、働き盛りの男性が大半を占めた(資料:厚生労働省)
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 政府が2019年10月1日に閣議決定した19年版の「過労死等防止対策白書」は、建設業における現場の過酷な労働環境と、改善に向けた対策が後手に回っている実態を浮き彫りにした。建設業とメディア業界は長時間労働を指摘され、18年7月に見直した過労死等防止対策大綱で自動車運転従事者、教職員、IT産業、外食産業、医療に加え、新たな調査対象となった。4回目となる今回の白書では、建設業とメディア業界の労働環境について分析している。

 今回の調査の対象期間は10年1月から15年3月までの労災認定事案だ。建設業を見ると未遂を含む自殺事案は54件。職種別の内訳は「現場監督、技術者など」が30件と最も多い。次いで「技能労働者など」と「管理職、事務・営業職など」がそれぞれ12件だった。原因は時間に関する内容が多く、「長時間労働」28件、「仕事内容・量の大きな変化」15件、「2週間以上の連続勤務」10件、「極度の長時間労働」9件だった。

2019年版の過労死等防止対策白書より建設業における自殺件数(未遂を含む)。長時間労働による精神的な不調が自殺の原因になることが多い(資料:厚生労働省)
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 白書の調査対象以降も含め、建設業界は都市再開発や五輪フィーバーを受けて活況が続く。その一方で、人手不足にあえぐ現場では長時間労働が横行している。

 例えば、「旧グランドプリンスホテル赤坂」の跡地再開発工事では厨房機器メーカーの50代男性が16年5月に自殺。渋谷労基署が「長時間労働による疲弊で発症した精神疾患が原因」と認めた。17年3月は新国立競技場の地盤改良工事に従事していた20代男性の時間外労働が約200時間に達した月があり、失踪後に自ら命を絶っている。

 厚生労働省労働基準局総務課の山崎琢也課長補佐は、「建設業の精神疾患を原因とする自殺は男性が9割超で40代、50代の働き盛りに多い」と指摘する。

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