「朝起きて外を確認したらパニック映画のセットのようになっていた」――。 巨大な鉄骨に屋根を押し潰された住宅地にたたずむ近隣の男性(55歳)は、変わり果てた街の様子をそう表現した。

台風15号の強風で倒れた千葉県市原市のゴルフ練習場のネットと鉄骨支柱(写真:日経 xTECH)
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高さ30~40mの鉄骨支柱が10本ほど住宅街に向かって倒壊した(写真:日経 xTECH)
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ゴルフ練習場のすぐ脇に立つ民家。9月10日の撮影時には住民が出入りしていた(写真:日経 xTECH)
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 2019年9月5日午後に発生した令和元年の台風15号は、勢力を維持しながら9日午前3時ごろに三浦半島付近を通過して東京湾を横断。同日午前5時前に千葉市付近に上陸した。気象庁によると、瞬間最大風速は千葉県各地で観測史上最大を更新している。9日には千葉市中央区で最大瞬間風速57.5m/秒を記録、1966年の統計開始から最大の値となった。このほか木更津市木更津では49.0m/秒、成田市成田では45.8m/秒の強風が吹き、それぞれ観測史上1位を記録した。

 19年9月9日未明に千葉県市原市を襲った強風は、市内に立つゴルフ練習場の鉄骨支柱を根元から押し曲げた。鉄骨支柱は隣接する民家に覆い被さるように倒れ、10数棟の住宅を破壊した。この被害によって20代の女性1人が重症を負っている。冒頭の男性は、「暴風雨の中で救急車が現地に到着できず、被災した人の救助にかなり時間がかかった」と振り返る。

 現場で被害状況を確認した一般社団法人防災住宅研究所の児玉猛治所長は、「地震の被害とは単純比較できないが、住宅の壊れ方を見ると全壊に近い建物も多い。台風による二次的な災害だが、どのような補償になるか注視している」と話す。

倒壊した鉄骨支柱が1階部分まで到達している民家。現地を調査した防災住宅研究所の児玉猛治所長は、「地震の被害とは単純比較できないが、住宅の壊れ方を見ると全壊に近い建物も多い」と話す(写真:日経 xTECH)
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鉄骨支柱はゴルフ練習場から3、4軒離れた住宅の屋根まで押し潰していた(写真:日経 xTECH)
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 消防庁が19年9月11日に発表した被害状況によると、死傷者は死者1人、重傷8人、軽傷76人となっている。住宅の被害は全壊3棟、半壊4棟、一部損壊825棟。建物の被害は神奈川県と千葉県が特に多い。

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