リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事に伴う大井川水系の流量減少対策を巡り、静岡県とJR東海が対立している問題で、国土交通省はリニアの早期開業と大井川水系の水資源確保などに向け、調整に乗り出した。県とJR東海が2019年8月20、21日に開催した意見交換会に、国交省の職員が初めて同席し、議論の様子を見守った。

静岡県内を流れる大井川上流の西俣川。大井川水系の流量減少などを巡り、静岡県とJR東海は対立している(写真:静岡県)
[画像のクリックで拡大表示]

 県とJR東海との協議はこれまで論点がずれるケースが多く、互いの認識が平行線をたどっていた。しかし、2日間の会合では「以前よりもかみ合った議論ができた」(県くらし・環境部の市川敏之部長代理)と評価する声も聞かれた。

 南アルプストンネル静岡工区について、県は大井川水系の流量減少などを理由に本体工事の着工を認めていない。

 リニア東京―名古屋間の27年開業を目指すJR東海は、静岡工区の早期着工を求めて県と協議を重ねてきた。当初は、環境影響評価手続きの国交大臣意見を踏まえて設置された専門家委員会(大井川水資源検討委員会)の検討結果に基づき、大井川の流量減少分だけ湧水を戻す対策を立てていた。しかし18年10月、従来の方針を転換。「原則としてトンネル湧水の全量を大井川に流す」と表明し、県に歩み寄る姿勢を見せた。

 その後も、県はJR東海のリスク評価や環境保全措置などが十分でないと指摘。19年6月に、JR東海に不十分な内容を問う中間意見書を送付した。JR東海は翌7月、県に中間意見書に対する回答案を提出。県は同月、回答案に対する質問書をJR東海に再び送った。

 こうした中、国交省が県やJR東海などの要望を受け、調整に動いた。8月9日には、県とJR東海との3者で静岡工区の当面の進め方について合意したと発表。両者の協議に同席し、状況に応じて検討の促進に努める考えを示した。

国土交通省と静岡県、JR東海が合意した静岡工区の当面の進め方(資料:国土交通省)
[画像のクリックで拡大表示]

この先は有料会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)が12月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら