応用地質は、トンネルなどのコンクリートの健全度をAI(人工知能)で判定するシステムを開発した。点検箇所をハンマーでたたく「打音検査」で生じる波形を解析し、劣化や浮きなどの変状を評価できる。国土交通省が道路トンネル定期点検要領で定める判定区分に沿って自動で分類する。自治体などの点検の負担を減らす。

コンクリートの健全度の判定結果。中央のグラフはコンクリートをたたいた際に計測した波形。下段のグラフは、変状の判定区分の確率(資料:応用地質)
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 打音検査では、コンクリートの表面をたたいた時の音を、点検者が聞き分けて変状を確認する。国交省が道路管理者に義務付けている5年に1度の点検では、現状の健全度を把握する他、将来の変状を予測して対策の必要性を見極めなければならない。音から判断する明確な基準はなく、熟練のノウハウや経験が求められていた。

 この「熟練の判断」を、AIに任せる。加速度計を内蔵した市販のハンマーを使って、打撃時にコンクリートがハンマーを押し戻す強さを測定。測定値の違いから、打撃した箇所の「劣化」「浮き・剥離」といった変状と、それぞれの健全度を判定する。

開発したシステムで使う、加速度計を内蔵したハンマーと小型のコンピューター。ハンマーは、コンクリートの圧縮強度を推定する市販品(写真:日経コンストラクション)
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 健全度は、対策が必要な順にIV、III、IIa、IIb、Iの5段階に分かれる。コンクリートがもろくなり剥がれやすくなる「劣化」や、ひび割れなどに沿って生じやすい「浮き・剥離」は、剥落防止対策が必要な変状だ。変状が各区分に該当する確率を示して、悪化する兆候を見逃さないようにする。

 「点検者の診断を支援するツールとして活用したい」と、同社メンテナンス事業部技術部の長谷川信介上級専門職は話す。判定結果は、点検者が持つスマートフォンなどにリアルタイムで送信する。点検の場でAIの判断を基に最適な判定区分を選び、コンクリートに印を付けられる。

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