2030年度末に札幌延伸を予定している北海道新幹線の札樽(さっそん)トンネル工事で、掘削土の受け入れ地が確保できず、着工が半年以上遅れている。建設を担当する鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)は「19年中に受け入れ地が見つからなければ30年度末の開業に支障が出る恐れがある」としている。

札樽の工区分け。星置と富丘の2工区で着工が遅れている。鉄道建設・運輸施設整備支援機構の資料を基に日経コンストラクションが作成
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 トンネル工事で発生する掘削土のうち、受け入れ地の確保が難航しているのが、自然由来の重金属など有害物質を含む「対策土」だ。対策土の受け入れ地は、面積がある程度広く、搬入に使える道路が近くにあり、地元住民の合意が得られる必要がある。さらに、不溶化処理や遮水などの対策工を施せるといった条件もある。

地下水などを通じた周囲への影響を予測。敷地境界などで環境基準を満たすようにする(資料:鉄道建設・運輸施設整備支援機構)
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対策工法の例(資料:鉄道建設・運輸施設整備支援機構)
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 札樽トンネルは、小樽市と札幌市を結ぶ全長26.2kmのトンネルだ。鉄道・運輸機構が6工区に分けて工事を発注している。

 6工区のうち主に星置(ほしおき)工区と富丘工区で対策土が発生する見込みだ。この2工区は、18年12月に着工する予定だった。

 掘削土は星置工区で49万m3、富丘工区で51万m3発生する見込みで、鉄道・運輸機構はこのうち何割を対策土と想定しているか明らかにしていない。機構はさらに、他工区でも対策土が一部で発生するとみる。

 対策土の発生は、05年から12年にかけて行ったボーリング調査で明らかになった。受け入れ地は、鉄道・運輸機構と札幌市で確保する。

 札樽トンネル全体で発生する掘削土は340万m3に上る。札幌市では17年秋から、星置と富丘を含む市内3工区で発生する230万m3の建設発生土の受け入れ地の公募を市のホームページで行っている。有害物質を含まない「無対策土」のうち、100万m3の受け入れ地は既に確保したが、対策土の受け入れ地は見つかっていない。

 現在、市が所有する土地から、対策土の受け入れ候補地を2カ所選んでいる。今後は、候補地でボーリング調査や水質・地質調査などを行い、対策土の受け入れ地として使用できるかどうかを検討する。調査に先立って、19年7月から8月にかけて周辺住民に向けた説明会を開く予定だ。

 「今のところ受け入れ地確保のめどは立っていないが、できる限り早期に決めたい」と札幌市新幹線推進担当課の二本柳昌哉課長は話す。

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