八千代エンジニヤリングは人工知能(AI)を用いて、ダム外壁のコンクリートの剥落を定量的に判定するシステムを開発した。従来は双眼鏡による目視で確認していたダム堤体の劣化情報を、ドローン(小型無人航空機)で撮影した写真とAIで把握する。同社は開発したシステムを、国土交通省東北地方整備局が発注した鳴子ダムでの点検業務に適用した。

コンクリート表面に生じる劣化「ポップアウト」の例(資料:八千代エンジニヤリング)

 劣化の対象はポップアウトという、コンクリートの表面が円形に薄く剥離した跡だ。八千代エンジニヤリングは、国交省鳴子ダム管理所がドローンで撮影した数千枚の写真からダム全体の画像を作製。AIの深層学習(ディープラーニング)を用いて、ポップアウトの位置と大きさを特定した。

 ドローンは風の影響を受けやすく、撮影する対象物からの距離や向きを固定することが難しい。写真によって対象物の縮尺が変わってしまうため、AIでひび割れなどを検出できてもその大きさは分からないという課題があった。

 そこで八千代エンジニヤリングは、SfMという、複数枚の写真から対象物の3次元モデルを作成する技術を導入した。様々な距離・角度から撮影したダムの画像を、SfMによって位置情報を持つ点群データに変換し、ダム堤体の3次元モデルを作製。これをダムの正面から見た平面図に正射変換して、1ピクセルの寸法を2mmという縮尺に固定した。AIは画像の各ピクセルがポップアウトであるか否かを判断する。ポップアウトと認識したピクセルの数で、ポップアウトの大きさを測る仕組みだ。

(資料:国土地理院)
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