太悦鉄工(浜松市)は、サッカーゴールなどの転倒を防止する杭状の固定器具「フレペグ」を土木用に改良した。どんな地盤でも高い引き抜き強度を保てるようになった。法面工事で作業員が着用する墜落制止用器具を固定する用途などで、土木市場を開拓していく。

土木用のフレペグ。電動工具などを使って、回しながら地中にねじ込む。らせん部分が土とかみ合うことで抜けにくくなる(写真:太悦鉄工)
[画像のクリックで拡大表示]

 らせん部分の軸と頂部のフックから成るフレペグは、電動工具などを使って回すと地中に入り、らせん部分が土とかみ合うことで外れにくくなる。反対方向に回せば、地中から簡単に抜ける。軸をボルトとすれば、地層がナットの役割を果たす。

 土木用のフレペグは、軸の直径が6cm、長さが1m。サッカーゴール用に比べると、太くて長いのが特徴だ。軸の先端から25~50cmの範囲をねじ形に加工。重さは5㎏以下で、価格は1本5万円程度。製品は10本単位で受注生産する。

 自社の試験では、引き抜き耐荷重が20KN以上であることを確認。ただし、地盤の固さに応じて引き抜き強度のばらつきが明らかになった。強度を一定に保つには、薬剤を使って地盤の固さを均一にする必要があった。

 そこで、金属表面の極小の穴やひびを樹脂で埋める「含浸(がんしん)剤」を製造・販売する中央発明研究所(東京都瑞穂町)と共同で、中性の無機粉体と水を混合した地盤強化剤を開発。製品の試作を終え、最終的なチェックを進めている。

中央発明研究所と共同で開発中の地盤強化剤を地面に開けた穴に注入し、土木用フレペグを挿入すると、24時間程度で強化剤が固まり、フレペグが地中に固定される。強化剤と併用すると、フレペグの引き抜き強度は5割ほど増す(写真:太悦鉄工)
[画像のクリックで拡大表示]

 地盤強化剤は、軟弱地盤で土木用フレペグと併用する。まず、地中に開けた穴に強化剤を注入。その後にフレペグを挿入すると、24時間程度で強化剤が硬化し、フレペグが地中に固定される。フレペグの引き抜き強度は、強化剤併用前と比べて5割ほど上がる。

 地盤工学を専門とする中央大学の斎藤邦夫名誉教授と協力して、フレペグの引き抜き強度と地盤強度の関係をデータ化する取り組みも進めている。

 地盤ごとに異なる引き抜き強度を把握するため、これまでは現場で引き抜き試験を実施しなければならなかった。しかし、フレペグを地中にねじ込むときにかかる回転のトルク(力)を様々な地盤で測定してデータ化すれば、挿入したときのトルクを測るだけで地盤の固さと引き抜き強度が分かるようになる。トルクの測定器は自社で独自に開発する。

 強化剤と測定器はいずれも19年9月ごろまでに開発を終え、20年3月ごろまでにデータ化を完了。同年4月ごろをめどに、それらの付帯サービスと併せて、製品の本格販売を始める予定だ。

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら