安藤ハザマは、山岳トンネル工事で掘削前に切り羽の10~30m先にある地山の安定度を予測するシステムを開発した。切り羽の前方探査などで得た削孔データをAI(人工知能)が自動で解析し、安定度の指標となる切り羽評価点を算出して地山等級を判定できる。

 切り羽より前方の地山等級が分かると、今後掘削する箇所の支保工の設置パターンや補助工法が適切かどうかを確認しやすくなり、施工時の安全性向上につながる。

長尺鏡ボルトで得た削孔データ。削孔データから切り羽前方の「切り羽評価点」を算出する(資料:安藤ハザマ)
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TFS-learningのシステムの画面。発破の断面ごとに切り羽評価点や地山等級を確認できる。画面左上に表示した断面の切り羽評価点は3.3(資料:安藤ハザマ)
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 2016年に同社が開発した発破後の切り羽の安定度を予測するシステム「TFS-learning」に、新しく機能を追加した。

 同システムは、切り羽にドリルジャンボで長さ1~1.5mほどの装薬孔を掘る際に得られる削孔速度やフィード圧、打撃圧、回転圧といった削孔検層データを分析して、発破後に現れる切り羽の安定度をAIが評価するものだ。発破後は、切り羽からの落石や地山の崩落といった危険があり、支保工の建て込みや火薬の装填で切り羽に近づく作業員の安全対策に活用していた。

 このシステムに新しく追加したのが「長尺削孔モード」だ。地山の補強などのために切り羽の前方に打ち込む長尺鏡ボルトや、削孔検層などの長尺の削孔データも予測に使えるようになる。掘削前の前方10~30m先の地山等級まで判定できる。地山等級の予測精度は90%以上だという。

 長尺削孔を実施してから切り羽の解析結果が出るまでは5分ほど。以前の短尺での解析よりも多くの断面を含むので計算量は増えるが、システムに負荷がかからないように計算を工夫した。

 また、分析では複数の解析ソフトを使うため、各ソフトに合わせてデータを変換する作業が必要だ。この作業をRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を使って自動化して、手間を減らした。RPAとは、データ入力などのパソコンを使った作業をソフトウエアのロボットで代替する技術だ。人手不足を解消する技術として期待が高まっている。

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