太平洋セメントは、セメントを製造するキルン(回転窯)から排出されるガスを対象に、二酸化炭素(CO2)を分離・回収する国内初の試みを進めている。

 同社の藤原工場(三重県いなべ市)に試験装置を設置。「アミン」と呼ばれる化合物を含む水溶液にCO2を吸収させる「化学吸収法」を用いた実証試験を2019年1月28日から始めた。

太平洋セメントが藤原工場に設置した実証試験装置。試験装置は主に、CO2を分離する「吸収塔」と回収する「再生塔」から成る(写真:太平洋セメント)
[画像のクリックで拡大表示]
太平洋セメントの実証試験の概念図。「アミン」と呼ばれる化合物を含む水溶液(吸収剤)にCO2を吸収させる「化学吸収法」を用いて、セメントを製造するキルン(回転窯)が排出するガスからCO2を1日当たり約20㎏回収する(資料:太平洋セメント)
[画像のクリックで拡大表示]

 セメントの製造には1450℃という高温での焼成工程が必要だ。主原料の石灰石が高温による化学反応を起こすことで大量のCO2が発生する。

 実証試験を行う藤原工場5号キルンでは、火力発電所から出る石炭灰などのリサイクル原燃料を多く使用し、1日当たり4600tのセメントを製造している。セメント製造に伴うCO2の排出量は、1日当たり約3000t。このうち、実証試験では1日当たり約20㎏のCO2を回収する計画だ。

 キルンからの排ガスに含まれるCO2は、代表的な排出源である火力発電所から出るガスより濃度が高いとされる。そのため、排ガスからCO2を分離・回収できれば、セメント製造過程でのCO2の発生を大幅に抑制し、環境への負荷低減につながる。

 太平洋セメントは以前から、CO2発生の抑制に積極的に取り組んでいる。中央研究所や環境事業部、生産部などから成る社内横断組織を2017年に立ち上げ、CO2削減技術を戦略的に検討。キルン運転の安定化や効率化によってエネルギー消費量を削減するとともに、廃棄物やバイオマスに由来するエネルギーを活用することで化石エネルギーの使用を減らしてきた。

この先は有料会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)が4月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら