頻発する土砂災害から国民の生命や財産を守る治山事業で、危険箇所の実態調査を反映せずに実施した工事が2015~16年度に計642件(工事費計約264億円)に上ることが分かった。会計検査院が11月9日に公表した17年度の決算検査報告で明らかにした。

 西日本豪雨や北海道地震で土砂災害による甚大な被害が相次ぎ、政府が国土強靭化の名の下に防災対策の予算を積み増すなか、不適切な治山事業は税金の無駄遣いにとどまらず、国土の脆弱(ぜいじゃく)化を招く恐れもはらんでいる。
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会計検査院長職務代行の柳麻里検査官が11月9日、安倍晋三首相に2017年度の決算検査報告書を提出した(写真:首相官邸)
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 17年度の決算検査報告によると、不適切な支出などの合計は374件で、総額は1156億9880万円。検査院が税金の無駄遣いや制度の改善を指摘した件数としては過去10年間で最も少なく、総額も2番目に少なかった。法令違反に当たる「不当事項」の指摘件数は292件で、金額は計75億5409万円だった。

決算検査報告の過去10年間の推移。2017年度は指摘件数が最も少なく、総額も16年度に次いで2番目に少なかった(資料:会計検査院)
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 このうち、国土交通省の支出については、不当事項の指摘件数が27件と前年度より10件増えたものの、金額は計2億8207万円と前年度より6億6000万円余り減った。不当事項では、護岸や擁壁、橋梁の変位制限構造などの設計の不備に対する指摘が6件と前年度(7件)とほぼ変わらなかったが、補助事業費や交付金の不適切な算定が増えた。

 一方、17年度の決算検査報告では防災対策の不備に対する指摘が目立だった。その代表例が治山事業だ。

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