地震や豪雨など、災害が立て続けに発生した2018年。暮らしを守るインフラとは何か、市民自身が考えなければならない機会は増えている。土木関係の様々な団体が広報活動に力を入れるなか、建設コンサルタンツ協会が09年に始めたのがフォトコンテストだ。10回目を迎えた今年、審査委員長を務める日本大学の宇於崎勝也教授に成果や課題を尋ねた。

先生は2017年から、建設コンサルタンツ協会が主催する「建コンフォト大賞」の審査委員長を務めています。フォトコンテストの狙いはどこにありますか。

「建コンフォト大賞」の審査委員長を務める日本大学理工学部の宇於崎勝也教授(写真:日経コンストラクション)
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 10回目となる今年のフォトコンテストでは、「あなたのお気に入りの“土木施設”」をテーマに一般の人から作品を募りました。

 道路や橋、トンネルなどの土木施設は、多くの人にとって「あって当たり前のもの」で「いつでも使えるもの」です。整備したり維持管理したりするのは行政任せで、土木施設がそこに存在する意味や役割になかなか気づいていません。

 土木施設をテーマに写真を撮ろうとすれば、どんなときに土木施設が美しく見えるのかなどを考える必要があります。写真撮影をきっかけに、土木施設が果たす役割を知ってほしい。これがフォトコンテストを開催する大きな目的ではないでしょうか。

 豪雨などで堤防が決壊すれば、多くの人命が失われ、大きな被害が生じます。被害が出てから堤防の重要性に気づき、「もっとしっかり整備していれば」と悔やんでも遅いのです。

 なぜ、そこに堤防があるのか。堤防の役割が分かれば、市民の防災意識もおのずから高まるだろうし、堤防に何か異常を見つければ行政に知らせようといった行動にもつながります。これが理想の形です。

 土木施設の維持管理を何から何まで行政の職員だけでやっていくのは難しい。市民一人ひとりが「行政任せにせず、自分たちが守らなければいけない」と思ってもらえるような文化を育てていく必要があります。

 最近は、市民が道路や河川敷の清掃、植栽の管理などを担う「アダプト制度」の取り組みも各地で増えてきました。