「反転世界」や「草の集合住宅」、写っていたのは?

フォトコンテストにはどのような写真が集まってきますか。

 応募作品を見ると、審査員の我々もこれまで見たことがないような風景を切り取った写真や一瞬を捉えた写真が少なくありません。

 例えば、2013年の第5回フォトコンテストで最優秀賞となった「反転世界」。秋田県大潟村にある国内有数の干拓地を貫く水路の風景です。水路の水面に空や両岸の木々が映り込み、作品のタイトル通り見事に反転しています。こうした写真は誰が見ても感動します。土木施設にはこうした視点や見方もあったのかと。

第5回 最優秀賞「反転世界」。撮影地は秋田県大潟村(写真:坂谷 専一)
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 土木の専門家ではないからこそ表現できたであろうユニークな作品もあります。例えば、法枠が施された法面の写真。撮影者は縦横に整った法枠を団地の風景に重ね、法枠の隙間に生えた草を住人と見立てました。

第9回 優秀賞「草の集合住宅」。撮影地は岡山市(写真:藤元 麻未)
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 土木施設そのものは基本的に動きません。しかし、水の流れや人の動き、光の反射などと組み合わせて、動きをうまく表現した写真もあります。「土木施設=静的なもの」と考えていた審査員の予想を良い意味で裏切る作品です。土木施設の使われ方やダイナミックさが伝わってきます。

 建設コンサルタンツ協会では、建設業界の将来の担い手として中学生や高校生にも応募してもらおうと、「建コンフォト大賞Jr.」部門も同時に開催しています。そちらの部門も審査していますが、若い人の応募作品には発見があります。

 例えば、棚田の坂道を歩く女性の後ろ姿の写真。撮影した学生は友人を写しただけなのかもしれませんが、同時に棚田の素晴らしい石積みも写真に捉えていました。

第4回 ジュニア最優秀賞「種蔵の里」。撮影地は岐阜県飛騨市(写真:米島 菜津美)
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 審査員の中で「これは土木なのか」という議論はありました。しかし、近年はこうした石積みを施工できる職人が少なくなっています。今となっては貴重な農業土木の写真に違いありません。