大林組は、月や火星で手に入る材料だけで建設資材を製造する手法を宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で開発した。マイクロ波による加熱やプレス機を使った圧縮によって、水や混和剤を使わずに土壌を固めて成形する。将来、地球外の天体で基地や道路を建設する際の活用を見込む。

月の砂を模擬した試料を溶かして製造したブロック。10cm角の大きさで、1200℃で約90分加熱した(写真:日経コンストラクション)
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 地球から宇宙に資材を運ぶには、膨大な費用を要する。10kgのブロックをロケットで打ち上げるには10億円かかるといい、地球外の惑星などで構造物を造るには、現地で入手できる材料だけで建設資材を製造する必要がある。

 月や火星の土壌はいずれも地球上のものと成分や性質が異なるため、それぞれの特性に応じた製造方法を開発した。月面で手に入るのは、表面に堆積する粒度の細かい砂だ。ケイ素や鉄の酸化物を多く含み、溶岩が固まってできる玄武岩に似た組成を持つ。

月の土壌を模擬した「シミュラント」。語源は「似せる」を意味するシミュレート。50%粒径は0.05mm程度と細かい(写真:日経コンストラクション)
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 月では水の入手が困難と考えられるので、大林組は月面の土にマイクロ波を照射して焼き固める手法を提案した。まず、ヒーターの役目をする発熱体で試料を包む。次に、マイクロ波で試料を1000~1100℃まで加熱すると、砂の表面が溶けてくっつき合う。「雷おこし」のように内部に空隙が多く残るものの、圧縮強度は約15N/mm2とレンガと同程度になった。

 開発に用いた試料には、アメリカ航空宇宙局(NASA)がアポロ計画で月から持ち帰った土を参考にして、組成や粒度を調整した模擬砂(シミュラント)を使用。JAXAが製造して提供した。

1000~1100℃で焼結したシミュラント。砂の粒子は原形をとどめており、表面は素焼きレンガのようにザラザラしている(写真:日経コンストラクション)
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