国土交通省九州地方整備局は、護岸のかさ上げと液状化対策を一体で実施できる「くし形鋼矢板工法」を国内で初めて適用する。地盤を改良してから別途かさ上げする従来の工法に比べて、コストと工期を45%削減できると見込む。今年度に試験施工を実施後、大分市内で大分港の護岸改良工事に活用する計画だ。

赤い部分がくし形鋼矢板。既設護岸の水たたきや排水溝を撤去しなくても施工できる(資料:下関港湾空港技術調査事務所)
[画像のクリックで拡大表示]

 高潮や津波から港湾施設などを守る護岸は、地震によって基礎地盤が液状化すると、沈下して越波の恐れがある。そのため、サンドコンパクションパイル(SCP)工法などで地盤を改良するのが一般的な対策だ。一方、地盤改良は大型重機を据え付ける広い施工ヤードを要するので、民間の工場や港湾施設が背面に立つ既存護岸の改良工事への適用は難しい。施工費も高額となる。

 くし形鋼矢板工法ではまず、既設護岸の背面に長尺と短尺を組み合わせてくし状にした鋼矢板を打ち込んで基礎を構築。次に、鋼矢板の天端にコンクリートの上部工を打設して既設護岸と一体化し、全体をかさ上げする。港湾空港技術研究所が中心となって開発した工法だ。

 くしの歯となる長尺の鋼矢板は粘土層などの非液状化層まで根入れして、護岸の沈下を防ぐ。一方、短尺の鋼矢板は護岸が受ける波圧や土圧に耐えられるように設計する。液状化自体を防止することが目的ではないので、地盤改良は不要だ。小型の重機だけで施工できるため、施工ヤードが狭くても適用できる。

 また、液状化が生じても、くしの歯の隙間から液状化した泥土を受け流すため、側方流動の影響を受けにくい。

この先は有料会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)は12月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら