イタリアのジェノバで起こった橋の崩落で、構造上の問題や維持管理の不備が指摘されている。43人が死亡した事故の原因は8月14日の発生から2週間以上たっても明らかになっていないが、斜材にプレストレスト・コンクリート(PC)を用いた異例の構造形式が一因だった可能性が高い。

8月14日に崩落したモランディ橋。1967年に完成した(写真:AP/アフロ)
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 崩落した橋は1967年に完成した。イタリアの著名な構造エンジニアのリカルド・モランディ氏が設計したことからモランディ橋(別名:ポルチェべーラ高架橋)と名付けられている。V字形の意匠の特徴的な主塔や橋脚を持ち、斜材にプレストレスト・コンクリート(PC)を使用した斜張橋の一種だ。

 全長は約1100mで、高さ90mを超える主塔を3基持つ斜張橋と6径間の桁橋で構成する。河川や密集した住宅地の上空をまたぐために200mを超える支間長を実現する必要があり、当時の最先端技術を駆使して建設した。

 斜張橋部分は、独立した3基の主塔が斜材を用いて支持するそれぞれ200m程度の桁と、それらの桁と桁の間をつなぐ30m程度の単純桁から成る。少ない支点数で長い支間を飛ばせるシンプルな構造で、コンピューター解析などがなかった60年代では画期的な構造だった。この形式の橋梁はモランディ・スタイルとも呼ばれ、ベネズエラのマラカイボ湖橋など世界で数カ所、同時期に建設された。

モランディ橋の概形。3基の主塔を持つ斜張橋だ。SOME TYPES OF TIED BRIDGE IN PRSTRESSED CONCRETE by Riccard Morandi を基に日経コンストラクションが作成
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斜張橋部分の構造の模式図。独立した主塔間を単純桁でつないでいる。SOME TYPES OF TIED BRIDGE IN PRSTRESSED CONCRETE by Riccard Morandiを基に本誌が作成
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 崩落したのは最も西側に立つ主塔だ。走行中の車両を巻き込んで約200mの範囲が崩れ落ちた。現地メディアは、崩壊を免れた主塔の斜材に腐食が見られるなど、適切な補修を講じていなかった可能性があると指摘する。

 一方、交通量の増加が原因の1つとする見方もあり、トラックの通行時に激しい振動があったという住民の声を取り上げている。現場は事故当時、激しい雷雨に見舞われていたことから落雷の可能性も報じられたが、現時点では構造や維持管理の問題に焦点が当たっている。

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