アスファルト舗装に生じたひび割れをIHヒーターと同じ原理で加熱して修復する自己治癒型のアスファルト舗装(関連記事:“IHヒーターで治す”舗装を日本へ、會澤高圧コンクリートが導入)。この技術を生み出したオランダ・デルフト工科大学のエリック・シュランゲン教授に、開発の経緯を聞いた。

――アスファルト舗装を加熱して補修しようという発想はどのようにして生まれたのか。

 オランダでは、排水性能の高いポーラスアスファルト舗装が広く使われている。安全な走行に寄与する排水性能の高さだけでなく、騒音を低減できるという点を重視しているからだ。半面、ポーラスアスファルト舗装は損傷などに弱く、その寿命が短いという欠点を持っていた。

 そんなポーラスアスファルト舗装の抱える課題を解決したいと考えているうちに、アスファルト舗装を加熱して修復させるという考えに至った。

オランダ・デルフト工科大学教授のエリック・シュランゲン氏(写真:都築 雅人)
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 開発した技術では、アスファルト舗装を施工する際に、砂や石などの骨材とそれらを接着するアスファルトを混ぜた材料に繊維状の微細な鉄(スチールファイバー)を混入する。この鉄の効果によって、アスファルト舗装を加熱できるようになるだけでなく、舗装の強度が増してわだち掘れなども防げる。

――技術開発で困難だった点は何か。

 新たな技術では、スチールファイバーを入れたアスファルト舗装に、交流電流を流したコイルを上からかざす。すると、舗装中の鉄分に渦電流が発生。アスファルト舗装を80~85℃程度まで加熱できる。加熱によって内部のアスファルトが融解し、アスファルトによる接着効果がいったん弱まって剥離しそうな骨材の再接着を図る。厚さ6cm程度の部分まで補修できる。

 これはIHヒーターと同じ原理での加熱だ。これまでの開発では、実用レベルとなるような加熱スピードにするまでの過程が大変だった。長さをはじめとする繊維状の鉄の形状や、コイルに加える交流電源の周波数などを何度も何度も調整して実際の舗装で使える形にしていった。

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