昨年末に長野県中川村の斜面崩壊の原因となったリニア中央新幹線関連のトンネル工事で、新たな問題が発生した。現場付近の橋で毎年営巣している県天然記念物の渡り鳥「ブッポウソウ」が、今年は飛来した後に姿を消した。工事が影響した可能性があるとの指摘を受け、発注者のJR東海は7月13日に工事を中断。今後の対応を検討している。

ブッポウソウが営巣していた四徳大橋。左手の坑口部が四徳渡トンネル(写真:長野県)
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 問題の現場は、リニアの工事用道路として建設している四徳渡(しとくわたり)トンネル。延長1.2kmで、幅9m、高さ6m、断面積50m2。施工者の戸田建設・吉川建設JVが昨年1月に本格着工し、18年度内の完成を目指して工事を進めていた。

 7月12日に開かれた中川村リニア中央新幹線対策協議会で、地元の保護団体「ブッポウソウの里の会」が付近の四徳大橋で営巣中だったブッポウソウが6月20日ごろまでにいなくなったと報告。工事による影響の可能性を指摘した。これを受け、協議会会長を務める宮下健彦村長がJR東海に工事の中断を要請した。

 里の会によると、ブッポウソウは1990年以降、毎年4月末から5月初旬にかけて飛来し、5月中旬から四徳大橋の上弦材に設けられた点検口などで営巣している。今年も4月末に飛来し、2組のつがいが営巣を始めたが、5月20日ごろからは点検口などへの出入りをやめ、6月20日ごろまでに橋の付近から姿を消した。

 里の会では「断定はできないが、30年近く毎年営巣していた場所からブッポウソウがいなくなったのは、工事が影響しているのではないか」とみている。

 これに対してJR東海は、長野県の公共事業の環境配慮書に基づいて、専門家の助言を受けながら、工事車両の通行や工程に配慮した計画を作成したと主張。実際の工事でも繁殖期間中は大きな音のする作業やクレーン作業を避けるなどの対策を行っていたと説明する。

 例えば、5月11日以降はクレーン作業を実施せず、夜間の照明もトンネル坑内や道路案内など安全上必要なものに限定したという。

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