米ゼネラル・エレクトリック(GE)のデジタル事業部門、GEデジタルにIoT(インターネット・オブ・シングズ)スタートアップを4000万ドルで売却した日本人とイスラエル人夫婦の起業家が、新たな挑戦を始めた。米シリコンバレーとイスラエルに拠点を置き「空飛ぶ車」の実現を目指している。

 機体はSUVほどの大きさ。道路を走行でき、自動車用の駐車場に置くことも可能だが、必要とあれば垂直に離陸して毎時150kmの速度で最大500kmを飛行する――。日本人のカプリンスキー真紀氏と、夫でイスラエル人のガイ・カプリンスキー氏が2018年にシリコンバレーで起業した米NFTが開発するのは、自動車と飛行機の両方の能力を備えた、文字通りの空飛ぶ車だ。

NFTが開発する空飛ぶ車のイメージ
出所:米NFT
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 真紀氏とガイ氏の2人は複数のスタートアップを起業してきた連続起業家だ。2人が2011年に日本で起業したIQPコーポレーションは、2017年7月にGEデジタルに4000万ドルで売却した。IQPは売却時点でシリコンバレーに本社があり、東京に営業拠点を、イスラエルのテルアビブにソフトウエアの開発拠点を設け、IoTに必要なシステムをコーディング不要で開発できるツールやアプリケーション実行環境を販売していた。

カプリンスキー真紀氏と、ガイ・カプリンスキー氏
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 IQPを売却した2人が次に選んだのが、空飛ぶ車を開発するNFTの起業だった。現在はシリコンバレーに5人、イスラエルに10人の従業員を擁し、2019年の試験飛行を目指して、デモ機の開発を進めている。NFTの起業に積極的だったのはCEO(最高経営責任者)に就任した真紀氏。「まさかこんなに早く、次の起業をすることになるとは思わなかった」。会長に就任したガイ氏はそう笑う。

将来は飛行も自動運転に

 空飛ぶ車と言うと、SFか何かのように聞こえるが、米国ではここに来て事業化への機運が急速に高まってきた。ライドシェア(相乗り)大手の米ウーバーテクノロジーズ(Uber Technologies)が2017年11月に空飛ぶタクシー「uberAIR」の計画を発表したほか、空飛ぶ車の事業化を目指すスタートアップが相次ぎ登場。トヨタ自動車やフランスのエアバスなど大手企業も空飛ぶ車の研究開発を加速している。

 「2018年にイスラエルの防衛大手エルビットシステムズ(Elbit Systems)のUAV(無人航空機)が、米連邦航空局(FAA)から市街地上空を飛行する認可を受けた。これで完全自動のUAVを都市交通に使用する機運が一気に高まった」。真紀氏は空飛ぶ車を取り巻く現状をこう説明する。

 真紀氏とガイ氏が起業したNFTも、空飛ぶ車の実現を目指すスタートアップの1社という位置付けになる。NFTが狙うのは「ドア・ツー・ドアの通勤に利用できる空飛ぶ車。2時間の通勤時間を15分に短縮する」(真紀氏)。

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