米マイクロソフト(Microsoft)が、IoT(Internet of Things)プラットフォームの業務利用の促進を急いでいる。同社はIoT事業の領域を拡大するため、産業機器の予防保守などに欠かせない「デジタルツイン」の実現を支援するサービス「Azure Digital Twin」を発表。2018年9月24日(米国時間)に米オーランドで開催した一大イベント「Microsoft Ignite」でのことだ。

 デジタルツイン(デジタル版の双子)とは、産業機器などの動きを再現するモデルをコンピュータ上に構築し、現実の機器から集めたセンサーデータを随時反映させてシミュレーションなどを実行することによって、機器に発生しそうな故障を予測する仕組みである。

 「デジタルツインによって、人がいる空間やモノをモデル化して、相互関係をシミュレーションできるようになる。つまりこれから何が起きるのかを予測したり、起きた事象の原因を推測したりできるようになる」。マイクロソフトのサティア・ナデラ(Satya Nadella) CEO(最高経営責任者)はMicrosoft Igniteの基調講演で、デジタルツインの目的をこのように説明した。

マイクロソフトのサティア・ナデラCEO
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 マイクロソフトは2015年から「Azure IoT」の名称でIoTプラットフォームの提供を始めているが、これまではセンサーを搭載したエッジデバイスである「Azure IoT Edge」や、IoTデバイスを集中管理する「Azure IoT Hub」など、データを集めるサービスが中心だった。Azure Digital Twinを提供することで、収集したデータを分析して、実際の業務に活用する部分のソリューションにまで手を広げたことになる。

定義済みのモデルを提供

 具体的にはAzure Digital Twinは、物理空間や人、デバイスをモデル化し、各エンティティ(存在)間の関係性をグラフとして表現する仕組みや、ある種の空間やデバイスをモデル化するための定義済みモデル「Twin Object Model」などを提供する。

 デジタルツインの肝となるのは、あるエンティティで発生した事象が、他のエンティティにどのような影響を及ぼすのかを関係性に基づいて処理する「グラフ処理」である。マイクロソフトでAzure IoTを担当するバート・バン・ホーフ(Bert Van Hoof)グループ・プログラム・マネジャーは、「グラフ処理には『Microsoft Azure』の各種サービスを使用しているが、どのテクノロジーを使っているかは公表していない」と、詳細については言及を避けた。

マイクロソフトのバート・バン・ホーフ グループ・プログラム・マネジャー
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 もっともAzure Digital Twinは、空間やデバイスをモデル化し、シミュレーションするツールでしかない。製造現場などの現実の空間やデバイスをモデル化し、実際にデジタルツインとして利用するためには、ツールだけでなく現場の知識が欠かせない。

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