米マイクロソフト(Microsoft)が米国の小売り最大手であるウォルマート(WalMart)と5年間の戦略提携を結んだ。ウォルマートはeコマースサイトなど数百種類の既存システムを「Microsoft Azure」に移行する。小売りとクラウドでそれぞれ米アマゾン・ドット・コムと激しく火花を散らす両社が手を組んだ。

 マイクロソフトとウォルマートが提携を発表したのは2018年7月17日(米国時間)。米サンフランシスコでは全米小売業協会(NRF)が主催する技術カンファレンス「NRFtech 2018」が、米ラスベガスではマイクロソフトのパートナーカンファレンス「Microsoft Inspire」が開催されているタイミングだった。

写真●ウォルマートの店舗
出典:米ウォルマート
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 ウォルマートはマイクロソフトを「優先的かつ戦略的クラウドプロバイダー」に選定。5年契約でITインフラストラクチャーのサービスであるMicrosoft Azureや、クライアント向けのクラウドサービス「Microsoft 365」を利用する。Microsoft 365はグループウエアやオフィスソフトなどのサービスである「Office 365」に「Windows 10」やクライアント管理サービスなどを組み合わせたものだ。

eコマースサイトのAzure移行をマイクロソフトが支援

 ウォルマートはeコマースサイトの「walmart.com」や「samsclub.com」を含む数百種類の既存システムをMicrosoft Azureに移行する計画で、マイクロソフトのエンジニアが移行作業を支援する。巨大かつ季節変動の大きいウォルマートのシステムをAzureに移行できるのか。マイクロソフトのクラウド事業にとって大きな試金石になりそうだ。

 ウォルマートはMicrosoft Azureが提供する機械学習やAI(人工知能)、IoT(Internet of Things)のサービスも活用する。ウォルマートは例として、小売店で使用する空調設備や冷蔵設備などのセンサーデータをインターネット経由で収集して分析することで省エネを図る計画や、商品を配送するトラックのルートを機械学習によって改善する計画などを挙げている。

 米ウォール・ストリート・ジャーナル紙によれば、アマゾンの「Amazon Go」のような「レジ無し店舗」の開発は、今回の提携の範囲外だという。ウォルマートは、レジ以外の場所でも従業員が専用のモバイル端末を使って決済ができる「Check out with Me」を350店舗でテスト中であるほか、過去には顧客が専用のスマートフォンアプリケーションを使って商品のバーコードをスキャンすることで決済が完了する「Scan & Go」をテストしたこともある。デジタル変革に欠かせないアプリケーションはウォルマートによる自社開発を継続する。

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