2018年はモバイル環境におけるディープラーニング(深層学習)が大きなトレンドになりそうだ。「スマートフォンや安価なIoTデバイスでも深層学習が利用可能になった」。米グーグル(Google)で機械学習ライブラリ「TensorFlow」の開発担当ディレクターを務めるラジャ・モンガ(Rajat Monga)氏はこう力説する。

 TensorFlowは、ディープラーニングの実現を支援するソフトウエア群。グーグルは2018年3月30日(米国時間)、米シリコンバレーで開発者会議「TensorFlow Dev Summit 2018」を開催し、TensorFlowの新機能を発表した。目玉となるのがモバイル対応の強化だ。

 まず、TensorFlowのJavaScript版「TensorFlow.js」を発表。さらにスマートフォン向けの軽量版「TensorFlow Lite」が従来の「Android」と「iOS」に加えて「Raspberry Pi(ラズパイ)」などに対応したほか、TensorFlowの対応言語としてiOS用アプリ開発で人気の高い「Swift」を追加する予定である。

JavaScriptに対応した「TensorFlow.js」
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ブラウザー上でも深層学習

 TensorFlow.jsを使うことで、ユーザーは通常版のTensorFlowで学習(トレーニング)済みの機械学習モデルをWebブラウザー上に展開し、機械学習の「推論」を実行できる。アプリケーション実行環境としてJavaScriptエンジンしか搭載しないIoTデバイスでも、機械学習の推論が実行可能になる。実用的な性能を出すのは容易ではないが、Webブラウザー上で学習そのものを実行することも可能だ。

 TensorFlow.jsは近日中に、サーバーサイドでJavaScriptを実行するためのミドルウエアである「Node.js」にも対応予定。クライアントサイドだけでなくサーバーサイドでも、JavaScriptを使った深層学習のモデル開発や学習、推論が実行可能になる。

 TensorFlow Dev Summit 2018で基調講演したグーグルのモンガ氏は日経 xTECHの取材に応じ、「既に数多くのモバイルアプリがJavaScriptベースで開発されている。TensorFlowがJavaScriptに対応することで、こうした既存のモバイルアプリに機械学習機能を組み込むことが容易になる」と、TensorFlow.jsが登場した意義を説明した。

「TensorFlow Dev Summit 2018」で基調講演する米グーグルのラジャ・モンガ氏
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 深層学習が普及し始めた当初は、学習も推論もサーバー側で処理するのが一般的だった。グーグルは2017年5月にTensorFlowの軽量版であるTensorFlow Liteを発表し、2017年11月にソフトウエアを公開。iOSやAndroidを搭載するモバイルデバイスで深層学習を利用しやすくした。

 グーグルのモンガ氏は、Androidのカメラアプリが備える「ポートレート」機能をはじめ、カメラで撮影した被写体を画像認識する「Google Lens」などでTensorFlow Liteが既に使用されていると明かした。

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