メーカーのブランドが付かない「ホワイトボックス」のサーバーが安さだけでなく、最高速をも目指すようになった。米シリコンバレーで2019年3月14、15日に開催された「OCP Global Summit」では、半導体に関する仕様もオープンソース化する取り組みが発表された。

 OCP Global Summitは、米フェイスブック(Facebook)の主導で2011年に誕生した「Open Compute Project(OCP)」の年次会合だ。OCPはデータセンターで使用するサーバーやストレージ、ネットワーク機器、ラック、空冷装置などのハードウエアの仕様や設計図をオープンソースとして開発、公開している。

 OCPの仕様に基づいたサーバーやネットワークスイッチは、台湾などのODM(相手先ブランド設計製造業者)が販売している。こうしたホワイトボックスのターゲットは従来、数千~数万台のサーバーを安価かつ迅速に調達したい大手クラウド事業者やネット事業者などだった。しかし、OCPは現在、AI(人工知能)チップに代表されるアクセラレーターを活用した最高速のサーバーを実現する仕様も作り始めている。

 その1つが、今回のOCP Global Summitで発表された「OCP Accelerator Module(OAM)」だ。OAMはアクセラレーターをサーバーに搭載する際のボード(モジュール)の標準化を図る仕様である。既存の拡張ボードの問題点を解消することを目指す。

アクセラレーターの標準モジュール「OAM」
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拡張ボードの冷却問題を解消

 「拡張ボードの仕様は冷却を考慮していないため、アクセラレーターの消費電力を増やせなくなっていた」。サーバー市場の世界シェア(数量ベース)3位で、OCP仕様のサーバー製造も手掛ける中国のインスパー(Inspur)サーバー・ビジネス・ユニットのアラン・チャン(Alan Chang)シニア・ディレクターは、拡張ボードの限界をこう指摘する。

 これに対してOAMは大型のヒートシンクを搭載し、サーバー本体の冷却ファンが作り出す風でアクセラレーターを効率的に冷却できる。モジュール上部の取っ手を使って挿抜可能であり、取り外しも拡張ボードより容易だ。OAMの仕様はフェイスブック、米マイクロソフト(Microsoft)、中国百度(Baidu)の3社が開発してOCPに寄贈した。

OAMを8個搭載できるOCP仕様のサーバー
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 アクセラレーターに関しては近年、AIだけでなく、ストレージやネットワーク、セキュリティーなどの処理を高速化するものが登場している。こうしたさまざまなアクセラレーターを1つのチップに統合するSoC(System on a Chip)を実現するための仕様もOCPが策定し始めた。

 OCPの中に作られた「Open Domain-Specific Architecture」プロジェクトがそれだ。「Domain-Specific Architecture(ドメイン特化アーキテクチャー)」とは、いわゆるアクセラレーターのことである。

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