日経SYSTEMS編集長 森重和春

 2018年も残りわずか2週間。今年も企業情報システムの開発では、様々なテーマに注目が集まった。AI(人工知能)やIoT(インターネット・オブ・シングス)といったテクノロジーの実利用が拡大、働き方改革を旗印にRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)ツールの導入は活況を呈した。企業のデジタルシフトが一層加速した1年でもあった。

 システム開発の現場も、変化を迫られている。デジタル化に対応するための新たな開発手法へのチャレンジ、ITエンジニア自身のスキルチェンジやマインドチェンジも重要度を増している。

 筆者が担当する日経SYSTEMSでは、システム開発の現場で仕事をするITエンジニアの皆さんに役立つノウハウ情報を提供すべく、日々奮闘している。2018年は、どんな記事が読者の皆さんの目に止まったのだろうか。そして読者の記事への反応からは、何が見えてくるだろうか。

 以下では読者アンケートを基に、2018年に読者の評価が高かった記事を振り返ってみたい。アンケート結果は、多くの読者に読まれ、読んだ読者の参考になった、という観点で記事の評価をスコアリングしている。

 ランキングは、情報システムの開発で利用する製品や技術、サービスをテーマにした「テクノロジー編」と、プロジェクトマネジメントや開発手法、エンジニアのスキルやキャリアをテーマにした「マネジメント編」の2つに分けて、それぞれトップ3の記事を見ていこう。

テクノロジー編:次に来るITインフラ技術はどれ?

 まずはテクノロジー編から。第3位は2018年1月号に掲載した特集「デジタルシフトを急げ」。企業におけるデジタルシフトの加速を受けて企画した記事だ。問題意識として、AIやIoTといった技術を導入することが目的となっているとデジタルシフトには失敗してしまう、という視点で記事をまとめた。デジタル化のシステム開発における、開発プロジェクトの進め方にも焦点を当てた。

 新技術を活用したサービス開発のポイントや、アジャイルやデザイン思考といった開発手法などを取り上げた。デジタルシフトに当たっては、人材のスキルチェンジも求められる。この記事では、ITエンジニアの最新の求人事情についても解説した。

 デジタル変革の重要性が叫ばれる中、システム開発をどう進めればよいのかはITエンジニアにとって重要な課題といえる。これまで経験を積んできたウォーターフォール型の開発から、アジャイル型の開発に切り替えなければと感じているITエンジニアも少なくないだろう。この特集が読者の注目を集めたのは、そうした危機意識の表れでもあるといえそうだ。デジタル変革にいかに対応していくかは、多くのITエンジニアにとって2019年も重要な課題となるはずだ。

 続いてテクノロジー編の第2位は、2018年11月号の特集「RPAの落とし穴」だ。RPAは、2018年に導入が広がったIT製品の筆頭だ。ITベンダーへの取材でも、RPAへの引き合いが増えているという話を聞くことが多くなった。全社的に展開を進めるユーザーの事例も増えている。2位へのランクインで、開発現場での注目度の高さを再認識した。

 RPAでは、ソフトウエアロボットを作成して帳票入力などの手作業を自動化し、業務を効率化する。ただし、RPAの導入が広がるにつれ、壁にぶつかる事例も増えている。ソフトウエアロボットの作成に時間がかかりすぎる、作ったロボットが止まってしまう、といった課題に直面するケースが増えているのだ。この記事では、RPAの導入や運用における失敗の原因と対策をまとめた。

ツールが苦手な作業にRPAを適用しようとすると失敗する
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 今後もRPAの利用は増えるだろう。落とし穴にはまらないためのノウハウは一層重要になるはずだ。

 一方で、企業システムの効率化の手段がRPA一辺倒になることのリスクも考慮すべきだ。RPAで実現するのは、今ある業務プロセスをそのまま自動化することだ。業務プロセスの見直しによるビジネス価値拡大といった効果が見落とされる可能性を指摘する声もある。言ってみれば、前述のデジタルシフトとは異なるIT化のアプローチだ。2019年は、RPAありきではなく業務を変えていく取り組みにも注目したい。

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