日経FinTech編集長 岡部一詩
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 金融庁が、銀行の情報システムコストに対する関心を強めている。地方銀行や第二地方銀行、新設行などを対象に幅広くアンケート調査を実施し、システムコスト負担の実態把握に乗り出すもようだ。「これまでも調査はしてきたが、今回は詳細な内訳を調べる見込み」と、業界に詳しい関係者は明かす。

 「経営体力に見合ったシステム投資になっているか」「デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた投資配分は適切か」「経営戦略とDXの方針が一致しているか」――。金融庁は、多岐にわたる観点を盛り込むとされる。今回の調査は、あくまで銀行と対話するための材料という位置付け。対話を通して、銀行業界のDX促進につなげたい考えだ。

 ただし、銀行におけるDXをスピードダウンさせかねない障壁が存在する。地銀間で進展してきたシステム共同化のしがらみである。

 DXを推進するには、銀行に重くのしかかる既存システムの運用コストをいかに圧縮し、新しいデジタル施策の予算を捻出できるかが1つの鍵となる。地銀のIT予算は、大手行で年間100億円規模。中規模行では50億円程度とされ、そのうちの実に3割を勘定系システムの維持コストが占めるという。これを“今どき”の軽いシステムに置き換えられるかが、DXへの投資を加速できるかどうかを左右する。

 システム共同化は複数行が1つのシステムを共同利用することで、1行当たりのコスト負担を減らそうとする試み。一方で複数行がステークホルダーになる代償として、意思決定は必ずしもスムーズには進まない。そのため、オープン化やクラウド導入といった新たな打ち手を取りづらいのが難点だ。実際、勘定系システムの領域で新しい取り組みを進めている銀行は、独自にシステムを運用する自営行が目立つ。

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