日経FinTech編集長の原 隆

 休日、コンビニエンスストアのローソンで2リットルの水を買った。決済手段は電子マネーの「楽天Edy」。商品をカウンターに置き、FeliCa決済端末にスマートフォンを置き、決済完了の音が鳴り、商品を受け取ってレシートが出てくるまでの時間は16.03秒だった。  もう一度、列に並んだ。今度は同じ2リットルのお茶を買った。今度の決済手段はバーコードで決済する「楽天ペイ」。商品をカウンターに置き、スマホからアプリを起動し、バーコードを読み取ってもらって決済が終わり、商品を受け取ってレシートが出てくるまでの時間は22.61秒だった。

 ローソンの店員の方には二度手間をかけてしまい申し訳なかったが、同じ楽天グループが提供する決済手段の違いによって、かかる時間がどのくらい異なるかを調べたかった。結果は予想通り、バーコード決済の方がFeliCaよりも6秒ほど時間がかかった。

 楽天ペイはあらかじめアプリを起動しておけばもっとかかる時間は短くなるだろうし、端末の性能によっても起動時間は変わってくるだろう。だが、楽天ペイはスマホの電池が無くなれば使えないデメリットがある。

 筆者はフィーチャーフォン時代からおサイフケータイを使い続け、スマホに乗り換える際もFeliCa対応にこだわってAndroid端末にした。今でも日々、楽天EdyやSuicaなどを使っている。おサイフケータイに慣れた筆者にとって、バーコード決済は明らかにダウングレードだ。にもかかわらず、最近ではなぜかQRコード決済に脚光が集まっている。

 例えば、メガバンクはQRコード決済の規格統一に動きを見せているほか、NTTデータもまた金融機関と組み、銀行口座の残高を使って即時振替して決済するQRコード決済の実証実験を2017年9月から始めている。NTTドコモは2018年4月から代金を毎月の携帯電話料金に上乗せして支払える「d払い」を開始するが、ここで採用するのもQRコードだ。

 最近ではテレビや新聞、雑誌などでも、頻繁に「QRコード決済」が取り上げられることが多い。まるで最先端の決済手段のように語られるが、前述した通り、おサイフケータイを既に体験している人にとって、利便性が劇的に上がるものではない。

 ではなぜここまで注目を集めているのか。ひとえにFinTechで最先端を走る中国の存在が少なからず影響していると言えるだろう。筆者はこの3月、中国・上海に飛び、メルペイ中国インターネット研究所所長の家田昇悟氏に様々な決済の現場を案内してもらった。確かにありとあらゆるシチュエーションで、QRコード決済が活躍している。

 だが、こうした光景を見て感じたのは、日本で起きているQRコード決済バブルに対する、かすかな懸念だ。

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