日経コンピュータ編集長の大和田尚孝

 IT関係者の度肝を抜く巨額の減損を、みずほフィナンシャルグループ(FG)が2019年3月6日に発表した。勘定系システムを含む固定資産の減損損失として、約5000億円を2019年3月期決算に計上するという。

 財務面での負担は軽くなるだろうが、大規模システムの「重荷」を巡るIT面での課題はまだ残る。保守・運用のスピードと品質をどう確保するかだ。解決のカギは、みずほFGがほぼ同時期に始めた新サービスにある。

 みずほFGが計上する減損損失約5000億円の大半は、リテール事業部門に関わるソフトウエアである。リテールとは個人向け事業のことであり、そのソフトと言えば勘定系システムの中枢だ。預金口座の管理や決済、融資など、中核の銀行業務を支える巨大システムである。

 銀行の勘定系は、開発規模が5000万ステップを超える。周辺システムまで含めると、1億ステップ以上とされている。さまざまな業種の基幹システムの中でも飛び抜けて巨大。みずほのそれは、日本最大規模を誇ると言ってよい。

 みずほFGが減損対象とする勘定系は、2019年7月に全面稼働を控えた新システムである。IT業界の関係者なら知らない人はいないだろう。

 2011年3月の東日本大震災直後に、大規模なシステム障害を引き起こした。その反省から、4000億円以上を投じて20万人月に迫る工数をかけ、6年がかりで全面再構築プロジェクトを進めてきた。

 「それほどの巨額な費用をかける意味があるのか」「他にやることがあるのでは」といった批判もあった。だがみずほFGには避けて通れない道だった。

 みずほFGは旧みずほ銀行が発足した直後の2002年4月を含めて、2度の大規模システム障害を起こしている。その原因は、老朽化した勘定系システムにあった。稼働から20年以上にわたり、新商品の投入に合わせて機能を継ぎ足してきた結果、システム全体のプログラム構造が複雑になり、全体を俯瞰(ふかん)できる人がいなくなった。いわゆる、システムのブラックボックス化問題である。

 「ここを解決しなければ将来はない」との信念に基づき、みずほFGは経営主導で全面再構築に取り掛かった。システムは完成し、2018年6月から段階的に進めている移行作業も8回目が終了。残すは2019年7月のラスト1回までこぎ着けた。

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