菅義偉官房長官の「携帯料金は絶対に4割下げる」宣言で揺れた、2018年の携帯電話業界。政府の規制改革推進会議は2018年11月19日に、総務省は同年11月26日にそれぞれ方向性を打ち出し、端末代金と通信料金の完全分離がほぼ固まった。では完全分離によって、どのような影響が想定されるのか。筆者なりに、2019年の携帯電話業界を展望してみたい。

ドコモの新料金はサブブランド並みに下がる?

 携帯電話大手3社の中で、最も注目すべきなのはNTTドコモの動きだ。2018年7~9月期の決算説明会で料金プランの大胆な見直しを予告。現行よりも2~4割下げた低廉な料金プランを、2019年4~6月期に投入するとした。もっとも、顧客還元額は最大で4000億円規模としており、一律で2~4割下がるわけではない。

 NTTドコモの関係者によると、例えばフィーチャーフォンからスマートフォンへの乗り換え促進につながるような料金プランを考えているという。フィーチャーフォンは法人利用を含めて、いまだに契約数が1700万件近くも残っている。

 AI(人工知能)を使ったエージェントサービス「my daiz」をはじめ、NTTドコモが力を入れるスマートライフ領域の大半は、スマートフォンの利用を前提としたサービス。フィーチャーフォンが大量に残っている状況は好ましくない。新料金の導入を機に、一気に移行を促す考えだ。

 2018年11月に提供を始めた「ウェルカムスマホ割」(フィーチャーフォンからスマートフォンに初めて移行する場合は最大13カ月間、月額1500円引き)も、新料金のシミュレーションを兼ねたものだという。

 NTT持ち株会社の澤田純社長は2018年7~9月期の決算説明会で、「NTTドコモは競合他社と違ってサブブランドがない分、フリーハンドで料金を下げられる。つまり、シェアを取りにいけるポジションにある」と自信を示した。

 どういうことか。競合のKDDI(au)は「UQ mobile」「BIGLOBEモバイル」「J:COM MOBILE」、ソフトバンクは「Y!mobile」「LINEモバイル」といったサブブランドを持っているので、メインブランドの料金は下げにくい。一方、NTTドコモはサブブランドがないため、何の気兼ねもなく料金を下げられる。ライバルのサブブランドとの料金差が縮まれば、NTTドコモのネットワークの信頼性やショップの多さ、通信速度といったメインブランドの強さが評価され、同社が選ばれると考えているようだ。

 ただし、前述の通り、顧客還元額は最大4000億円規模に限られる。全体をサブブランド並みに下げられるわけではなく、一部だけを安くするのが精いっぱいだろう。

 総務省は今回の緊急提言で端末代金と通信料金の完全分離だけでなく、「過度に複雑な料金プランや合理性を欠く料金プラン」の見直しを大手3社に求めた。通話頻度やデータ通信容量が同じサービスであるにもかかわらず、プランによって料金が異なるのはおかしいと指摘した。特定の端末やユーザーを対象とした割引は「不公平」として、今後は許されない可能性が高く、料金設計の自由度は著しく低くなると予想される。

総務省の緊急提言の概要(一部)
(出所:総務省)
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 フィーチャーフォンからスマートフォンに乗り換えるユーザーを対象とした割引は、「4Gへの移行促進」の観点では合理性があるとして、認められる可能性はある。だが澤田社長が言うようにシェアを取りにいくのであれば、料金プランの下限(例えば、毎月のデータ通信量が1Gバイトなど)を極端に下げるのが濃厚ではないかと、筆者は見ている。

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