菅義偉官房長官による「携帯電話料金は4割程度下げる余地がある」という発言は世間を騒がせ、ついにはNTTドコモが2019年の第2四半期に料金を2~4割引き下げる意向を示す事態になった。このときの「4割」という数字の根拠となったのが、2019年に第4の携帯電話会社として新たに参入する楽天が、既存の携帯電話会社の半額程度の料金設定を計画していることだ。楽天は、半額程度の料金にできる理由として、従来のような専用機ではなく仮想化技術をフルに活用し、一般的な汎用サーバー上にソフトウエアで基地局や基幹網の機能を実現するからだと説明している。

汎用サーバーの利用が当たり前に

 複数のソフトウエアが複雑に連携しながら動作する必要があり、さらに高速なレスポンスと高い信頼性が求められる通信事業者のネットワークは、長らく通信機器ベンダーが提供する専用機の独壇場だった。だが、冒頭の楽天の発言でわかるように、通信事業者のネットワークにも仮想化技術を使って汎用サーバーを活用するという流れが着実に進んできている。

 例えば、NTTドコモでは仮想環境上でネットワーク機能を動かす「NFV(Network Functions Virtualisation)」を、2016年3月から導入している。具体的には、異なるハードウエアベンダーの汎用サーバーでハイパーバイザー方式の仮想化ソフトを動かし、その上に作成した仮想マシン環境(VM:Virtual Machine)でネットワークに必要な機能を動かすというものだ。

NTTドコモでは汎用サーバーのハードウエア上に用意した仮想化環境でネットワークのサービスをソフトとして動かしている(出典:NTTドコモ)
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 NFVを導入し、ハードウエアとして専用機ではない汎用サーバーを使うようにすれば、設備コストを抑えるだけでなく保守運用の時間や費用も削減できる。例えば、アクセスが集中して帯域がひっ迫していることを検知すると、中央のネットワークオペレーションセンター(NOC)からの指示で該当する部分向けに仮想マシン環境を立ち上げて簡単にシステムを増強できる。万が一の障害が発生した際にも、予備の仮想マシンに切り替えてすぐに復旧が可能だ。こうした運用のために、ソフトウエアでネットワーク構成も簡単に変更できるSDN(Software Defined Network)も同時に利用している。

 NTTドコモでは、まずはNFVによるパケット交換機の仮想化を進めている。今後は音声交換機や留守番電話蓄積装置、位置情報管理装置といった他のネットワーク機能についても順次仮想化を進め汎用サーバー上で動かしていく方針だ。

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