「民間企業が発注する中高層ビルの木造化を拡大するには、法などの規制とは別に、乗り越えなければいけない壁があることに気づいた」。2019年10月15日に東京・有楽町で開催された「木造建築シンポジウム2019」のパネルディスカッションに、経済界の代表として参加した隅修三氏(東京海上日動火災保険相談役)は、自身のプレゼンテーションの最後に、こんな内容の発言をした。

ヒューリックの主催で2019年10月15日に開催された「木造建築シンポジウム2019」のパネルディスカッションで発言する隅修三氏(東京海上日動火災保険相談役)。「銀座8丁目開発計画(仮称)」のデザイン監修者である隈研吾氏(建築家、東京大学教授)、同開発計画の設計・施工を担う竹中工務店の宮下正裕会長の他、日建設計の亀井忠夫社長がパネリストを務めた。コーディネーターはジャーナリストの福島敦子氏(写真:日経 xTECH)
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 同シンポジウムの主催者は、不動産賃貸を主な事業とするヒューリック。同社が建て主となって東京・銀座で「銀座8丁目開発計画(仮称)」を進めている。21年秋ごろには、地上12階建ての耐火木造建築が、銀座通り(中央通り)沿いに完成する予定だ。

 耐火木造による都心の高層建築の計画は、こればかりではない。大林組は、横浜市内で純木造・地上11階建ての自社研修施設の計画を進行中だ。地方都市で取り組む例も出てきた。髙惣合同会社(仙台市)が発注する「仙台駅東口プロジェクト(仮称)」だ。仙台駅東口エリアに純木造の7階建てビルを建設する。設計・施工をシェルター(山形市)が担い、日本で初めて主要構造部に製材を使用する高層木造となる。21年春に完成予定だ。

 隅氏は、18年3月に経済同友会の地方創生委員会委員長として、国産材需要の拡大を目的とする提言を発表した。「地方創生に向けた“需要サイドからの”林業改革~日本の中高層ビルを木造建築に!」だ。

 地方創生には林業の再生が欠かせないが、そのためには国産材の需要を喚起する必要がある。民間の中高層ビルが木造化されれば、大量の木材需要が生まれるというわけだ。民間企業にとって木造化は環境貢献にもつながり、CSR(企業の社会的責任)やSDGs(持続可能な開発目標)の流れにも乗る。

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