銀行の勘定系システムの機能をインターネット経由で提供する「クラウド勘定系」がにわかに盛り上がっている。富士通は2020年の提供開始を目指しており、ソニー銀行が第1号ユーザーとして採用することを検討中だ。一方、ライバルのNTTデータは今のところ目立った動きを見せていない。

 なぜ両社の間には、クラウド勘定系への温度差がこれほどあるのか。それをひも解く鍵は、地方銀行向け共同化システムの成否の違いにありそうだ。

 「まずはネット専業銀行や新規参入企業を狙う」。富士通幹部はこう力を込める。同社は2018年10月5日、勘定系の機能をクラウドサービスとして提供する「FUJITSU Banking as a Service(FBaaS)」の開発に着手したと発表した。

 最大の売りは預金・決済や貯蓄、ローンといった勘定系の中核機能を切り出して、マイクロサービスとして提供できることだ。利用企業は必要なサービスだけを導入し、それらを組み合わせることで、新たな金融サービスを始められる。

 低コストも売りだ。一から勘定系を構築する場合と比べて、初期導入費を半分以下に抑えられる見込み。2018年4月には、FBaaSなどを提案する中核部隊と位置付ける「デジタルバンキングプロジェクト」と呼ばれる組織も立ち上げた。

クラウド勘定系で再起

 富士通がクラウド勘定系にこれだけ前のめりなのはなぜか。それは地銀向け共同化システムでNTTデータなどライバルの後塵を拝してきたためだ。富士通は2000年代、社運をかけて勘定系事業に臨んだものの、完成が遅れて、新規や既存顧客を逃した。だからこそ、新たな市場を切り拓く可能性を秘めるクラウド勘定系に再起をかけている。

 一方、地銀向け共同化システムで最大手のNTTデータはクラウド勘定系に関して、一定の距離を置いている。

 NTTデータは2018年7月、オープン勘定系パッケージ「BeSTA」をオープン基盤で動かすための技術検証を終えたと発表した。発表文に「将来的にはクラウド利用を含め、さらなる拡充を今後も目指す」という一文を盛り込んだが、詳細は明かしていない。

 共同化システムの主要顧客である地銀を取り巻く経営環境は厳しさを増している。金融庁によると、本業が2期以上連続して赤字だった地銀は全体の半数近くに達する。少子高齢化や超低金利という経営環境のなかで、成長戦略を描きにくい状況だ。

この先は会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)は12月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら