2019年10月12日に伊豆半島に上陸した台風19号は、東日本を中心に大きな被害を与えた。近年、これまでの想定を上回る大規模な災害が頻発している。被災するたびに備えや避難の重要性が叫ばれ、そのための情報発信や収集の手段としてSNS(交流サイト)が主流になってきた。

台風19号の大雨で、水戸市では那珂川などが氾濫して道路が冠水。水位が家の屋根まで達した箇所もある(写真:日経 xTECH)
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 災害情報を主にテレビやラジオから得るか、SNSやウェブメディアから得るかは、年齢層によって異なるだろう。少なくとも若い世代は当たり前にSNSで情報を得たり発信したりしている。20代の筆者も、台風19号に関する気象情報や被害情報をテレビよりもツイッター(短文投稿サイト)で見ていた。

 自治体や住民からの情報が飛び交うSNSの画面を眺めながら、これまで行政や土木業界が国民に対して公共事業に関心を持ってもらうようなコミュニケーションを取ってこなかった事実が、災害時に浮き彫りになっていると感じた。

 ツイッターでは、デマなどが問題になるものの、被災地の住民が投稿するリアルタイムの写真や動画を見れば被害状況をピンポイントで把握できる。近隣の住民が身近な被害を実感でき、避難につながりやすい。

 そのため自治体なども、災害時の情報発信の手段としてSNSを積極的に使っている。台風19号の上陸前には、自衛隊や埼玉県入間市などが急きょツイッターのアカウントを開設。行政機関が公式アカウントを運用することで、信頼性の高い情報を素早く広められる。

 SNSで「#台風19号」「#○○町」「#○○ダム」といったハッシュタグと共に情報を発信したり、「命を守る行動を」と切迫感のある呼びかけをしたりといった動きには、18年7月の西日本豪雨の教訓が生かされた。国や自治体が発表する情報が住民の避難に結びつきにくかったという課題に対し、国土交通省は行政やメディアの関係者を集めて情報の提供方法を検討してきた。

 半面、ダムの放流や河川の氾濫など専門知識が必要な情報に関しては、できるだけ分かりやすく簡潔に表現して避難を呼びかけた結果、かえって緊急性や危険度が伝わりにくくなっているように感じた。

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