企業のITシステムでは、今や仮想化技術を利用するのが常識となっている。だが、その技術がほとんど利用されていない分野がある。通信事業者(キャリア)のコアネットワーク部分だ。

 コアネットワークを構築する機器は、提供するサービスの内容に合わせて最適な形に作り込んだ専用のハードウエアを使うのが、現在でも当たり前だ。その最後の牙城といえる部分にも、仮想化技術の波が押し寄せようとしている。

核となる機能をソフト化

 NTTネットワークサービスシステム研究所はスペインの大手キャリアであるテレフォニカと共同で、仮想化技術の実用化に向けた実験を実施中だ。「ホワイトボックススイッチ」と呼ぶ汎用のハードウエアを使って、通信キャリアのネットワーク装置を実現できることを検証する。

 ホワイトボックススイッチとはソフトウエアを自由に入れ替えられるネットワークスイッチである。パケットを高速転送するために必要なASICを搭載したサーバーである。そのハードウエア上に、目的に合った基本ソフト(ネットワークOS)や各機能のソフトウエアを搭載し、目的に合わせてASICの動作内容を変更してネットワーク装置として利用する。

 実験は、キャリアのコアネットワークで必要な機能をホワイトボックススイッチ上に実装した上で、現在の専用装置と同程度のパフォーマンスが実現できることを確認することを目的としている。今回は、パケットを最適な経路でやりとりする「転送」と、光ファイバーでデータを送る「伝送」という、まさに通信キャリアのコアネットワークで基盤となる部分をソフトウエア化する。

NTTとテレフォニカが共同で実施する実験の内容
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 転送と伝送の個別機能に加え、両者を最適な形で連携させるコントローラー機能も実装しテストしている。実験では実行速度といったパフォーマンスだけでなく、装置の一部が壊れてもサービスが継続可能か、必要に応じて部分的に交換できるかといったことも検証する。これまでは同一メーカーのものを使うのが当たり前だったインタフェース部分と伝送部分について、別メーカーの部品も組み合わせ可能なことも確認する。

 主にパケットの転送部分をNTTが、光ファイバーの伝送をテレフォニカが担当している。実験は2019年9月から実施しており、2019年10月中に完了する予定だ。

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