「被災地の情報が少ない」「被害を伝える報道が足りない」。2019年9月8日から9日にかけて関東地方を中心に大きな被害をもたらした台風15号で、SNS(交流サイト)からこんな声が上がった。強風などで約2000本の電柱が損壊して60万軒以上が停電した千葉県が、当初はメディアにほとんど取り上げられなかったからだ。SNSなどを使って自ら情報を集めなければならなかった。

 千葉県内の市町村も、停電に加えて強風で屋根やビニールハウスが飛散するなど被害が広範に及んだことで、域内の情報を収集するのに苦労したようだ。

 近年、災害時の情報収集ツールとしてドローンに期待する声をよく聞く。台風15号でも、自治体にドローンを活用する体制が整っていれば被害の把握や地域への情報発信などに役立っただろう。しかし、体制の構築に向けて克服すべき課題は多い。

職員が自らドローンを飛ばそうとする自治体は年々増えている。千葉県君津市では、職員が橋の点検に活用し始めた(写真:君津市)
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 例えば、誰がドローンを飛ばすのかという問題だ。職員が自ら操縦する場合、訓練や教育を要する。技能を維持するには定期的に飛ばす必要があるし、パイロットとして育った職員がドローンと関係ない部署に異動することもあり得る。災害時だけ都合よく利用するのは難しい。民間会社と災害協定を結んで操縦を依頼する手もあるが、職員が操作するのに比べて対応が後手になりがちだ。

 加えて、ドローンの機体メーカーや測量などのサービス事業者からは、「自治体はドローンに期待し過ぎて要求性能が厳しい」という声が聞かれる。雨天でも飛ばせる、GNSS(衛星を使った測位システムの総称)が届かなくても飛ばせる、など過剰なスペックを求めるあまり、導入に躊躇(ちゅうちょ)する場合があるようだ。

 首都圏のある自治体では、数百万円を投じて高性能ドローンを購入したにもかかわらず、運用できる職員がいないため倉庫に眠ったままだという。あまりに高価な機材では、飛ばす職員もおじけづいてしまう。

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